諫早市が合成洗剤配布

Water

  あの水系ギロチンの諫早市がまたおかしなことをやってくれました。干潟環境を破壊した上に今度は市内2万3000世帯に合成洗剤を配って水質保全をめざすとか。配布されたのは、「ブルーシー台所洗剤(400ml)」、ラウリン酸アミド等を含む合成洗剤です。驚いた市民や消費者団体は「なぜ石けんを配布しないのか」と市側にクレームしていますが、話は平行線のまま。

 私のところにも、婦人民主クラブ経由で「諫早市当局の合成洗剤配布を中止させるために」という緊急の連絡が流れてきました。
  それと前後して、長崎で環境保全の運動を行っている戸田さん(某大学教員)から私の方に、「滋賀県では石けん使用でアシが枯れたり魚が死んだことがあるというのは本当か」と電話の問い合わせがありました。そんなことはないですよ〜と答えつつ、誰がそんな変なことを言っているんですか?と逆質問すると、そう言っている学者がいるとのこと。

  さらに、婦人民主クラブ代表の山口さんからの電話で、それを言っているのは東京大学名誉教授の中村純二(宇宙物理)なる人物であることが判明。地元の新聞にそのコメントが載ったということで早速その記事のコピーをファクシミリしてもらいました。曰く、「琵琶湖周辺で石けん使用が推奨されたことがあったが、BODが高いうえに石けんかすが残ってアシが枯れ、魚も死んだ。諫早市が配った洗剤は石けんに比べて毒性は強いが、生態系を壊すことは少ない。しかも他の合成洗剤に比べて界面活性剤が少なく、総合的に判断すれば今回の洗剤の配布はいいことだと思う」(毎日新聞99/03/01)。いさはや、あら間違えた、いやはや、毒性の強いものでもいいことだという神経もさることながら、前半部の事実認識は根拠のないウソですね。滋賀県がそんなことを言う人がいたら、ウソツキ〜〜〜と言われるだけ。事実確認なしで嘘コメント載せるなよな〜>毎日新聞。なんで宇宙物理の先生のコメントなのか、全く意味不明ですが、この人が裏で合洗メーカーと諫早市を繋いでいる黒幕の御用学者なのかしらん。諫早市の後ろに合成洗剤メーカーが見え隠れします。

 専門的にいえば、「BODが高い」のは、石けんの生物分解が可能であることの証拠でもあり、「石けんかす」が残っても環境中で安全に分解可能。問題ありません。逆にいえば、合成洗剤のBODが石けんよりも低いのは下水処理場や環境中での生物による分解が芳しくないことの証拠でもあります。これが未だにわからない人や学者が多いのは、水質指標のBODだけで水環境の特性を評価できると思いこんでいるからでしょうか。
 合成洗剤の危険性について私が語るまでもありません。去年あたりから環境ホルモン(内分泌攪乱物質)の議論も出てきましたから、合成洗剤中のそういう成分についても光を当てて問題化しなければなりません。今回の現地新聞報道では、合洗でもいいやんか〜という大スポンサーにすり寄る姿勢さえ感じます。先の間違いコメントを載せた新聞には綿貫洋という署名つき。婦人民主クラブ(山口さん)が彼に琵琶湖の話はウソだから有田に確認して下さいと申し入れたそうですが、彼からの問い合わせ連絡は未だありません。

(おわび)御用学者の名前を当初、中村純一と書いていましたが、中村純二の間違いでした。戸田さん(長崎大学)に指摘されるまで全く気づきませんでした。申し訳ありません。99/05/15記