ボスナとシリア難民そしてSIMカード オーストリア旅行その7

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ザルツブルグに「ボスナ」というホットドッグがあります。安くておいしかったので昔何度も買ったのですが、今回訪れてみるとお店が見当たりません。どうやら場所を移動したみたい。何とか探して行ってみると店の前に行列が出来ていて相変わらずの人気でした。そのボスナとシリア難民、そしてSIMフリーとの関係について少し。

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インスブルックは30年振りでしたが、ザルツブツグは27年振り。30年前だけでなく27年前にも訪れたからです。その時、目抜き通りのゲトライゼガッセを歩いていると大勢の人で賑わっている小店あり。そこで売っていたのがボスナ(BOSNA)という名前のホットドッグ。気に入ったので何度も買いました。

今回訪れると以前の場所にお店がありません。あらら、なくなったんかいな〜と残念に思っていたら、目抜き通りから路地を入ったところに移転したことが判明。出かけてみると店前には行列あり。相変わらずの人気で安心しました。

bosna2ボスナって具体的にいえば、ホットドッグ用のパンを半切りして熱した鉄板で軽く焼き、その中にマスタードをつけてグリルソーセージやタマネギなどを入れるだけ。昔はソーセージが1本でしたが、現在は2本入りになっていました(この店のボスナは €3.5で安くはないのですが、行列が絶えることはありませんでした)。

ところで、そのボスナを売っているお店の名前が「バルカン・グリル ヴァルター」だったので調べてみると、ボスナはバルカン地方がルーツなのだそうな。バルカンというのはバルカン半島のバルカンで、バルカン諸国といえばバルカン半島にある国々を指します。ということは、ボスナがオーストリアへやってきた経路は、現在シリア難民がやって来ているルートといっしょじゃないですか。ボスナを食べながらそのことにあれこれ思いを巡らせた次第です。


9月15日以降のザルツブルグ周辺におけるシリア難民の動向ですが、あの直後にザルツブルグからミュンヘン行きの列車が運行停止になり、難民たちは駅周辺で立ち往生状態に陥りました。おまけにクロアチアやスロベニア等からEUへ入ってきた者についてはダブリン協定により最初のEU入国地へ送還されることになり、既に5000人以上がその対象になったようです(ドイツ内務相・談話)。

留まっているとヤバイというわけでしょうか、ザルツブルグにいる難民たちは先日私が想定した通り、ザルツブルグから徒歩でドイツ国境へ向かうようになりました。場所はフライラッシング、ザルツブルグ中央駅から徒歩で約1時間の町です。ところがドイツ側がその国境をコントロールしているため、国境線の橋付近に5000人以上が留まっているとのこと。入国審査に50時間というニュースが日本でも流れていましたが、ザルツブルグ近くでは既に降雪があったとかで何とか早い内に事態が改善されることを願うばかりです。

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ところで、私はシリア難民関連のニュースを現地のthe LOCAL.at等でフォローしています。この中にオーストリアにやっと辿り着いた難民たちが経験や苦労を語る特集があり、そこにはいろいろ考えさせられることが満載。

たとえば、トルコからギリシアへ船で渡る際に大勢の人が海に落ちて行方不明になったこと、トルコやハンガリーの収容所環境が劣悪なこと、悪辣な移民仲介業者は移民たちを騙して金を取ること、等々です。その中で興味深かったのは、移動中の国々でSIMカードを国ごとに取り替えながら情報収集してきたという下りでした。先に触れた通り、ザルツブルグ中央駅の難民たちはスマホ等を使いこなしている感じでしたが、どの経路が安全か、移動手段は何がいいか、そんな情報を携帯機器で入手してきたそうです。

情報が生死を分けることもある現代社会では、SIMロックフリーな情報機器を持っていて、SIMカードで通信をアクチべートする手順を理解していることは、生きるための知恵のひとつかも知れません(注)。シリアでは「国境なき医師団」の医療施設が米軍側に「誤爆」された、というニュースが昨日流れていました。いろいろな情報が錯綜する現代では、情報の本質を見極めることも大事だと思われます。

(注)SIMロックフリーといっても機器によって使える周波数はさまざま。国によっても周波数が変わるので対応していない機器では使えず、日本のキャリア版iPhoneのロックを外しても使えない場合があります。また、カードを入れた後にAPN(Access Point Name)を設定し直してアクティベートしなければならない場合がありますから要注意。