あぶないプール:出版までの経緯

プール事故

 思えば、塩素消毒については少しわかるということで関りはじめたプール問題。ちょっと調べて見ると、学校プールの水質管理のずさんさに驚き呆れてしまい、本まで書く羽目になりました。

 誰か他の方がこの問題をやっていれば有田の出る幕はなかったのですが、学校当局側からの問題解消の方向性は見えてきませんし、片や塩素消毒や塩素の化学反応式も知らない『専門家』が塩素処理は危険だからやめるべきだというトンチンカンな話を平気でやっている状況では問題が解決するはずもありません。

とにもかくにも塩素消毒の問題、とくに洗体槽の危険を明らかにするため、92年に日本消費者連盟関西グループを発行元にして『安心して泳いでいいの?』という小冊子を作りました。類書がなかったせいか、新聞やTVでも取り上げられて比較的広範に問題を提起することができました。学校関係者の中でも岡山県の教職員組合の養護教員部がすぐに問題の重大性に気づき、私にコンタクトをおとりになってきましたし、その関係から広島、大分、福岡、奈良、鳥取など多くの所へ出向いて解説したりもしました。そこでわかったことは、一生懸命問題に取り組もうとする人たちと放置されてきたプール問題との落差でしたが、少しづつ解決の方向に動いているような感じもします。
 ちょうど『あぶない水道水』を書き終わった96年秋に三一書房の林さんから本にまとめてみてはとのお申し出があったのを契機に本書きをはじめたのですが・・・、
 プール問題の危なさというのは、何も水質問題だけでなく飛び込みの危険性、排水口の危険性などもありますし、溺死に関する問題も避けては通れません。しかし、溺死までカバーするには有田の能力を越えているため、それ以外の問題について『あぶないプール』とすることにしました。でも、書き始めてみると、データも揃っていないという壁にすぐ突き当たり往生することになりました。逡巡の結果できあがったのが『あぶないプール』です。