プリオン?

一泉庵

 一昨日来、新幹線の中で読み始めたリチャード・ローズ「死の病原体プリオ ン」(草思社:桃井・網屋訳)をやっと読み終えました。

 内容もさることながら、最 後についている解説がわかりやすく、なぜ、プリオンが異端の未解決問題なの かを明らかにしています。共食い(!?)&食肉を通じて起こる危険性、とくに、こ の本の最後の個所はとても暗示的で、しかも現実的な危険性を指摘しており、 寒気がしてしまいました。

 個人的に面白かったのは、クロイツフェルトヤコブ病CJDのクロイツフェルトさ んがアルツハイマー教授のお弟子さんだったこと、CJD研究が八十年代後半 から活発化するアルツハイマー病のアミロイド斑研究の元になっていたこと 等。よく考えてみれば、スポンジ脳症とアルツハイマー病の脳細胞欠損って似 てるもんね(医学的には違うものです、念のため)。

本で入手したニワカ知識で連れ合いに説明していたら、既に70年代後半から 80年代にかけて、クールーと食人習慣、CJDなどは医学知識としては一般的 なものだったそうです。だからこそ、硬膜移植でCJDに患った人たちへの厚生 省の責任は重いというべきなんでしょう。