擬装に隠されるマヤカシの商い

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中国産ウナギを愛知県産と偽り、日本中に売りまくって儲けたお金が3億円?(金額はよくわからない)。メディアは産地擬装ばかり問題にしていますが、本質的な問題はそうではありません。比内鶏、どことか産の牛肉等々、この手のインチキが繰り返されるのはそれが儲かる仕組みがあるからです。さてさて、その問題に解決策はあるのかないのか。

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ウナギの産地擬装が発覚した時、わたしは連れ合いと以下の会話を交わしました。

「この手の擬装はなくならんね、きっと」
「そうやろね」
「ヤリ得なんやもんなー」
「罪に問われないんかな?」
「そりゃ表示義務違反とか、JAS法違反みたいな罪には問われるやろうけど、儲けた分を消費者に返せとか国庫に没収されるとか、ないもんね」
「じゃ、擬装で儲けた分は儲け得ってわけ?」
「そう。悪徳業者にしてみれば、発覚するまでにいくら儲けるかが問題なんじゃないかな」
「ひどい話ね、それ」
「このことをマスコミがきちんと云わないのがなぜか、そっちが気になるんやけどね」

例の船場吉兆によるインチキ商売が発覚して、会社が破綻し従業員が路頭に迷っても、あのインチキで被害を被ったお客さんにちゃんと補償したでしょうか。顧客名簿を持っているはずのお店側は、客一人一人を捜し出して謝罪をし、お金を返すこともできるでしょうが、それをしたのでしょうか。仮に客が請求したとしても店側(の弁護士)は原告適格とかいろんな難癖つけて逃げ回ることでしょう。いくら神妙な顔でテレビカメラの前で演技したところで、要するにヤリ得なわけ、です。

ウナギの件も同じです。わたし自身、某デパートでつい1ヶ月前に愛知県産なるものを一度買ったことがありますが、食べてみると明らかに中国産のような感じ。事件の発覚前だったので、某デパートのウナギはやめておこうと思った程度でしたが、ニュースが出てみるとあらまぁなるほどと夫婦で妙に納得したものです(苦笑)。そんな状況ですから、トリ、ウシ、ウナギどころか、すべての食材を疑ってかかるのが当たり前という世界なのではないでしょうか。生産者の顔が見える、あるいは自分自身の根拠で信用できるルートでの食材しかアテにならないというのが実情だとわたしは考えています。

さて、今回のウナギにはもうひとつ厄介な問題あり。それもだんだん表に出てきつつありますが、わが家では既に事件発覚時にそれを予想していました。

「擬装しても罪にならないなら、悪い業者ならやってしまうわね」
「うん。良心的とかどうかというより、従業員に給料を払えるかどうかなんてお金の問題になってくると誘惑に勝てなくなるからね」
「きちんとした仕組みを作ればいいのに」
「いやいや、もっと悪徳業者ならうまい手を使うと思うよ」
「え、何それ?」
「後でごめんなさいをする会社を予め作って、そこが悪さをしたように親会社が仕組むこともできるし」
「ありそうやね」
「まず親会社が手に入れたモノでやばい橋を渡らせる分を子会社や関連会社に振り分ける。この時点で親会社の儲けは確定。それから擬装やインチキ化粧を施し市場にばらまく。この時点で小会社などの利益も確定。擬装がばれても親会社は責任を問われず儲けも安泰、小会社も儲けた分はそのまま。後は小会社側の社長が責任を一身にかぶって幕引きすればオシマイ。今回の件でもそうでしょ? ヤクザの鉄砲玉商法みたいなもんかな」
「悪いこと考えるのね」
「いやいや、悪徳業者はもっと手が込んでいるんじゃないか」

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つい数日前の一部報道によると、魚秀の社長は某輸入会社の社員だったらしく、どうやらわたしの勘は当たっていそうですね。捜査当局の今後の尽力に期待しますが、メディアももっと切り込んで欲しいもの。輸入食材が絡む話はキナクサイものが多いし。