ジヴェルニーの食卓

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ジヴェルニーの食卓今秋の旅の宿がやっと全部予約完了。今回はフランスのニース辺りをウロウロすることにしています。

そのきっかけになったのが原田マハさんの「ジヴェルニーの食卓」でした。この本に出逢わなければ、私は南仏に行こうとは思わなかったことでしょう。

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ジヴェルニーと聞いたら、思い浮かぶのは画家のモネが晩年に過ごした街、そんな人も多いはず。私がこの本を手にとったのもこの名前に惹かれたからですが、ジヴェルニーはパリの北西、ノルマン地方の都市なので南仏ではありません。じゃなぜ南仏と繋がるのか。

実はこの本、4人の画家を題材にした短編小説の合本で、マティスを取り上げた「うつくしい墓」、ドガを取り上げた「エトワール」、セザンヌを話題の中心に据えた「タンギー爺さん」、そして題名となった「ジヴェルニーの食卓」で構成されています。

どれも逸話や実話をベースにしているにもかかわらず、実は虚構の話という点が面白いんですが、私と連れ合いが一番惹かれたのがマチスに焦点をあてた「うつくしい墓」でした。舞台はニース、そうコート・ダジュールです。

主人公はマティスの家政婦になった絵心のある女性。マティス以外には友人のピカソも出てきますし、マティスのパトロンだった人物やその周辺の人たちが実に魅力的に描かれています。ベースが実話なので、いったいどこまでがホントでどこからがフィクションなのか、全くわからなくなってしまうのが著者の腕でしょうか。いつのまにか南仏の景色の中に引き込まれてしまいました。

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(写真はロバート・キャパ写真集(文藝春秋社)より)

マティスにピカソ、そしてシャガール、セザンヌ等々、晩年を南仏で過ごした画家だけでなく、フォン・ホッホの向日葵だって南仏アルルの景色じゃないですか。そんなことを考えていると、無性に南仏に行きたくなってしまいました。

でも南仏って、いくら景色が良くても、あまり食べ物が美味しそうじゃないし、ワインはもう1つ・・・のような感じがしていたので、これまでは旅行の目的地には一度も入れませんでした。でも、原田さんの素敵な描写がそれを打ち砕いてくれたみたい。

ということで今年はフレンチ・リビエラ。ニースにアンティーブ、ヴァロリス、ヴァンスとぶらぶら愉しんでこようと考えています。

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