アブルッツォ
2014/04/29
ミステリアスガイド・アブルッツォ(石川康子 著)世界文化社 2013.6
アブルッツォ、あるいはダブルッツォと聞けば、私はまずワインが頭に浮かびます。というか、それしか知らなかったんですが、この本を読んでアブルッツォについて知ることができ、そして行きたくなってしまいました。なかなか魅力的な本です。お薦め。
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この本は一ヶ月ほど前に京都の本屋でたまたま見つけたんですが、読み始めると思わず引き込まれてしまいました。
アブルッツォとはどこにあるのか。アブルッツォとはイタリアの州の名前で、ローマの東側、アドリア海をのぞむ場所にあり、ラクイラ、キエティ、テラモ、ペスケーラという県があります。ラクイラでは2009年4月に大きな地震があったことを覚えている人も多いことでしょう。
読み進めていくうちに妙な既視感というか親近感が出てくるのです。たとえば、スカンノ。本の中で町の名前を見た時、何か記憶に引っかかるなぁと思っていたら、あぁそうだ、ブレッソンやジャコメッリの写真の舞台になった所じゃないですか。
すぐさま自宅の写真集をめくると、あったあった。上記がそれです。特異な雰囲気が印象に残っていたので覚えていたみたいですね〜。(出典はそれぞれの写真集)
ちなみに、ブレッソンは1951年、ジャコメッリは1957年の写真ですから、ジャコメッリがブレッソンの写真を真似て撮ったということなのでしょう、きっと。
日本との関係でいえば、織田、豊臣、徳川の時代に日本にやってきた宣教師らがこの辺りの出身だそうな。天正少年使節団(1585)の仲介役になったのもキエティ出のヴァリニャーノさん。そのヴァリニャーノさんが来日した時に連れていたモザンピーク人を織田信長がいたく気に入り、自分の家臣にしてしまったことが本に記されていました。そういえば、漫画「へうげもの」(週刊モーニング)で信長に寄り添う黒人が描かれていましたが、その人物のことだったんですね〜。この本では、私にとって点でしかなかった知識がちょこちょこ繋がる感じになるから不思議です。
さて、ワインのモンテプルチアーノ・ダブルッツォ。アブルッツォに冠詞のダがついてダブルッツォ。香り、味ともに上質な雰囲気なのにもかかわらず、売値で驚きの1000円台というコストパフォーマンス。同価格帯のフランスワインでは当たり外れが大きいのですが、このワインは品質が(なぜか)ばらつかない。おそらく、世界一コスパなワインではないかと思ったりします。「神の雫」でも取り上げられていたらしいのですが、私には記憶がありません。
生産者はいろいろ。一番の有名どころはマシャレッリでしょうか。そのマシャレッリさんのでも2000円未満で手に入りますから、素晴らしい(注)。たしかに高級ワインのレベルには届かないかもしれませんが、肉料理やチーズにはよく合います。ちなみに、この本を読んでから拙宅での家飲みワインはこればっかり。皆さんも次にワインを買う機会には、私に騙されたと思って1本飲んでみて下さいまし。
本から話がはずれてしまいましたが、アブルッツォの魅力満載な石川さんの本はお薦めです。
(注)マシャレッリさんのはビンテージや畑によって高いのもあります、念のため。