モノクロの魅力
2014/01/17
モノクロに関して、ここ数日読んだ本に同様な言い分を発見。また、写真家Mさんからもメールを頂戴しました。やっぱりですね~。モノクロ写真の魅力についてはプロは当然のこととして了解づくみたい。
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先日の私の言い分は
色がついているとどうしてもその色彩に目を奪われ、意識がそちらへ向かいます。でも色がついていなければ自然とモノのカタチが見えてきます。少しコントラストを高めると尚更カタチが浮いてくるのです。(雪景色2014)
モノクロとは極端にいえば白と黒のコントラスト。私たちはそのコントラストの中で、人物の動きや仕草を想像逞しくして頭の中で構成することになります。色の情報がない分、つまり色彩に意識が邪魔されることはありません。(記憶はモノクロ?)
ということでした。写真を撮り始めて(40年経って、やっと)自覚的に理解できたわけですが、こんな見解は写真家の間ではごくごく当たり前で、ここ2,3日読んだだけでもいくつか見つけてしまいました。
まず、写真家の菅原一剛さん。モノクロフィルムやデジカメのモノクロモードを使えば、「色のおかげで何となく誤魔化されていた、黒の大切さを感じることができる」とし、「写真にとっては、すべてが”黒”次第だったりするのです」と解説しています。また、「色彩という、ぼくたちの目にとって、もっとも刺激的な情報をなくしてみることで、余計にきわだってくることも、たくさんあるはず」としています。(「写真がもっと好きになる」ソフトバンククリエイティブ 2008)
まさにその通り! 我が意を得たりですね。
次に風景写真家の相原正明さん。「写真の基本は、モノクロ写真…」、「モノクロでしっかりと撮るということは、色でのごまかしがききません」とのこと。カラーの綺麗な風景写真を撮っている人なので、最初にその文言に出会った時は少し意外な感がしましたが、海外での評価審査でモノクロの人物写真を持ってきてくれとキュレーターに命じられた経験をお書きになっていたので納得です。
(「誰も伝えなかったランドスケープ・フォトの極意」幻光社 2014)
さらに個人的にメールを下さった写真家のMさん。「写真の魅力こそ白黒です。色がついていると目は先に色に向かいます。よくある「色に惑わされる」のです。ご注意。」とのアドヴァイスでした(抜粋)。やっぱりですね〜。
モノクロの魅力なんて、わざわざクチにするまでもないというのがプロの認識なのでしょう。
以上、日頃からモノクロ写真に向き合っている人たちだからこその意見でした。
一方で、一般人はモノクロを古いとか懐古的だとか、そんな認識を持ってしまいがちです。おそらく時代の流れがモノクロからカラーになってきたこと、モノクロ写真やモノクロ映画に登場する当時の服装や町並みの古さに影響されているのではないでしょうか。
でも、でもですよ、時間の流れが逆で、もしカラーからモノクロになっていたらどうだったのか。モノクロの方に斬新さを感じなかったのかどうか。そして、この現代にモノクロしか撮れないデジカメを産み出したLeicaの矜持というか、懐の深さに思いを寄せるこの数日です(自爆)。
(付記)そーいえば、ソニーも今年モノクロ専用デジカメを売り出すそうな。数日前にそんな噂話が流れていました。Leicaの二番煎じといえばそれまでなのですが、モノクロ見直しに繋がっていくのは面白そう。