空手形

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rice1309私の予想に反し、2020年のオリンピックは東京で開催することになりました。景気が上向くのは有り難いのですが、素直に喜べません。チェック機能を失ったマスメディアは首相の空手形?を無批判に歓迎し、開催に伴う巨額な費用捻出については知らない振り。そのツケはいったい誰が支払うことになるのか、とっても心配です。

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先の東京オリンピックの時、費消したお金のほとんどはオリンピック開催に要する直接的な費用ではありませんでした。どこかで読んだ記憶によると、9割以上は新幹線、モノレール、高速道路の建設に回され、この国のインフラ整備の礎になったそうです。要するに、オリンピックを契機にした国づくりだったわけ。

幸運なことに、高度経済成長のおかげで当時かかった巨額の費用は国の資産になりました。今度はどうか。

オリンピックがスポーツの祭典であることはまぁいいとしましょう。でも、お金的にはオリンピックはそれを大義名分とした巨額な投資事業であることは云うまでもありません。だからこそ、国や都が必死になり、スポーツ関係者のみならず広告代理店やマスメディアが大挙して群がってくるわけです。だから、大メディアに開催に異議を唱える意見が載らないのは当たり前といえば当たり前。

都や国は東京という都市のリビルド、リハビリにお金を注ぎ込むのでしょうが、成長の兆しが見えなくなった日本で昔と同じことをやっても上手くいくはずもなし。代わりに、イベント屋や新聞TV等の報道産業ががっぽりお金をぶんどっていきそうな気配が漂っています。

そして、安倍首相が世界に向けて発した話は大嘘でした。

フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。(HUFFPOST 東京プレゼン全文より)

本当に「状況は、統御」されているんですか? ウソですね。壊れた原子炉、危険で触れない燃料棒、原子炉メルトダウンの状況も未だ明確に把握できず、汚染水は何らかの理由で貯留タンクから漏れ出し、海洋汚染に繋がっています。これらは「いかなる悪影響」もないのでしょうか。そんなはずはないでしょう。首相の弁に呆れてしまいます。

一方、危険な状況を強欲金融資本主義に毒されたIOC委員が見て見ぬ振りをするのはまぁあり得ることとしても、メディアが横並びで無批判に同調するのは醜悪の極み。チェック機能も何もない。ここにも3.11以降の異常な世界がかいま見えてしまいました。

願わくば、首相の国際公約を空手形にしないために、国はこれから心を入れ替えて東電原子炉廃炉作業に邁進してほしいものですが、過去の経緯や海洋汚染を放置する無責任さから考えれば、かなわぬ希望かもしれません。

さてさて、この空手形の負債のツケは誰が払うのか?

答は明らか。年金問題と同様、巨額のコストを支払うのは私たち国民であり、とくに若い世代にとっては重い重いツケとなって返ってくることでしょう。この国の年金はもうそろそろ誰の目にも破綻が見えてきます(近々また改悪)。フクシマだって放流水問題等で数千億円規模で費用が騰がっていきます。アベノミクスだって上手くいくかどうかは今後次第(私は否定的)。オリンピックに浮かれるお金はどこにあるんでしょうか。

ツケはこれからの国民の負担になることが明らかなのに、こんな曖昧な話に国民が納得するのはあまりに哀し過ぎ。若い人はなぜそのことに気づかないのか。自分は関係ない・大丈夫だと思っているのか、それとも諦めているのか。私にはわかりませんが、安倍某の空手形に幻惑される程度なら、この国の未来は暗い(きっぱり)。

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