国家はウソをつく
2013/06/20
以前、堤未果さんの「政府は必ず嘘をつく」を取り上げたことがあります。3.11を思い起こせば、よほどお気楽な人でない限り、政府がウソツキであることを疑わない人はいないでしょう。でも、国家のウソは日常的です。最近では元自民党議員の野中広務さんが尖閣諸島の領土問題について言及したのを、菅官房長官がウソだと記者会見しましたが、まさに国家はウソをつくという格好の実例でした。
今回紹介するのはもっと強烈で、法律で国家がウソをつくことを認めているのだ、と解説した元特捜検事の若狭勝氏著「嘘の見抜き方」です。
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「嘘の見抜き方」は、たわいないウソから確信犯的なウソまで4つに分類し、それぞれの嘘の特長や見分け方などを解説することで、ウソの本質に迫っていこうとする野心作。元東京地検特捜検事や公安部長経験者である著者の経験に基づいているところが他に例がなく、そして面白い。著者のお顔は数年前からTVで見かけるようになりましたから、ご存じの方は多いのではないでしょうか。
ウソそのものの話は横においておいて、個人的に面白かったのはウソに関する法律のある解釈です。実例として挙げられたのは、2010年秋尖閣沖で海保の巡視船に中国の漁船が体当たりしてきた事件でした。あの時、国は中国の船長をいったん逮捕したのにすぐに釈放し、その意味不明な行為は検察の独自判断であって国は関与していないと発表した件です。
若狭元検事はこれを全くのウソと断じ、中国の報復措置に対する回避行動だったと述べた上で、ウソを国がついても罪に問われることはないと解説しています。というのも、現行の法律(刑事訴訟法)では国益のためなら国がウソをつくのを認めているからとのこと。これには少々愕然としました。これが事実なら、国益の名の下にいくらでもウソがつけることになります。
つい先日の野中発言も同じです。野中広務氏さんが1972年当時の田中角栄さんと周恩来さんとの間でなされた尖閣の「棚上げ」を口にしたら、菅官房長官が「棚上げや現状維持を合意した事実はない」と公式に否定しました。でも、この「棚上げ」は自民党の加藤議員等も発言していて多くの人が既に知っており、不肖私だって、このサイトに何度も紹介しています。野中さん以外の発言に知らん顔するNHK等の報じ方も異様ですが、たぶん菅長官ののウソを固定化させるための方策なのでしょう。
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3.11後の枝野氏もそうでした。官房長官という職業は平気でウソをつくのが仕事みたいなものです。その代償として巨額な官房機密費(賄賂)を駆使し、マスコミを抱き込んでいるのは公然の秘密。ややこしい話が出てきたら官房長官の話は信じるな!というのが世渡りの原則ですわ(きっぱり)。
とにもかくにも、国はウソをつく。国益などという美辞麗句を持ち出せばどんなウソをついてもお咎めなし。党利党略や個人的願望を国益に置き換えていないかどうかなんて、ハタからはわかりません。法律でそのウソを裁けないとすれば、ウソは堂々と闊歩します。国益が民のためだとは必ずしも云えない状況では、国の云うことを信じろという方が無理な話。前に紹介した五木寛之さんの話も含め、そんなことを考えてしまいました。