富士山の噴火

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地震と噴火は必ず起こる: 大変動列島に住むということ (新潮選書)私がこどもの頃、火山には活火山と休火山と死火山があって、富士山は休火山で活火山ではないと教わりました。でも、1975年以降、休火山と死火山という用語は死語になったそうな。富士山も現在の定義によれば、活火山! 死んでもいないし休んでもいない。いつ噴火してもおかしくないということみたい。あらら。

つい最近までそれを指摘するのはタブーでしたが、3.11以降ホントのことが云える状況になったみたいで、富士山の噴火についてもメディアで話題になるようになりました。でも、いまだに富士山は休火山だと思っている人は多いのではないでしょうか。

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マグマ学者の巽好幸さんの本を読むまで富士山が活火山であるということを知りませんでした。巽さんによると、活火山の定義は以下の通り。

概ね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動の火山(2003年)

直近の富士山の噴火は1707年のことですから、1万年前どころかわずか300年ちょい前の話。その時の火山灰は川崎や関東方面にも降り注いだそうで、今起これば都市機能を完全にストップさせてしまうことでしょう(たとえば、火力発電所のタービンが火山灰で止まるので電力消失、交通も遮断されるし、中部関東方面の農業は壊滅的等々)。

国家の恥 - 一億総洗脳化の真実ところが、つい最近まで富士山の噴火を指摘しようものなら、地元自治体や御用メディアから攻撃されるという醜い状況がありました。

先日取り上げた上杉隆さんの「国家の恥」の中には、2007年に彼が富士山の噴火の可能性について取材したら、地元の富士吉田市の職員から『風説の流布』で犯罪だと言われたり、NHKからは「(そんな取材をしていると)山梨に住めなくなるゾ」と脅されたりしたことが書かれています。

要するに、住民の生命財産より観光の方が大事というわけ。そうです、原発事故と同じ(危険なものはないことにすれば大丈夫という、とんでもない)構造がここにもありました。くどいようですが、「NHKや大新聞は本当のことを云わない」ということを、ここでもキモに命じておきましょう。そして、巨大噴火などがある国土で原発なんかもっての他だということも再確認しておきましょう。

3.11は福島県や東北地方等に取り返しのつかない被害を与えましたが、一方で富士山の噴火や南海トラフ崩壊による巨大地震の情報提供や警鐘に繋がりました。それまで国民に本当のことを言わなかった行政やメディアも、もうゴマカシ続けられなくなったというわけです。でも、行政やメディアはアワ喰ったみたいに大変だ大変だというだけで、どう対処すればいいのかまでははっきりしません。アカンなぁ。

行政やメディアに頼れない現在、私たちは自分自身で我が身と家族の今後を真剣に考えなければなりません。紹介した巽さんの本は一部専門的な箇所がありますが、歯に衣きせずカミソリのような切り口で噴火問題に迫っています。地震と噴火についての情報を知りたい人には必読書です。