原発幻魔大戦

.Books&DVD… 3.11

原発幻魔大戦 (ビームコミックス)いましろたかしさんの漫画。帯にあるように、3.11以降の日常を「怒りと恐怖と慟哭の日々」としてストレートに漫画化しています。

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幻魔大戦といえば石森章太郎さんの作品を思い出しますが、原作そのものは平井和正さん。この漫画はそこから題名を採ったというわけですが、考えてみると今日的状況はまさしく原発ハルマゲドン。なかなか巧いネーミングだなぁと思ったのが第一印象。

著者が日々感じたアレコレが展開されるのを読んでいると、改めて「そんなことあったなぁ」、「そうそう、あいつはあの時そんなことを云っていたなぁ」と思い出し、ムカムカを再現させてくれました。

個人的に思い出したことが1つ。前総理が「脱原発依存」を持ち出したら、枝野某が「遠い将来の夢」と揶揄したり、前原某や仙石某が「思いつき」と貶したことを漫画で取り上げていますが、改めて愕然。というのも、それらは見事に今日の再稼働工作に繋がっていますもんね。時間経過を追って政権内部のイヤらしさを再整理するのにこの漫画は非常に役立ちます。

漫画のうしろには著者による新党日本代表の田中康夫さんへのインタビューがついていました。これもなかなか面白い。田中議員のように真っ当なことを国会で取り上げる者をメディアが取り上げない(したがって市井の人は誰も知らない)のは、メディアが御用機関である証拠。NHKや朝日が卑怯なのは未だに改善されずですわ(怒)。

漫画であろうが小説であろうが評論であろうが、ポスト3.11の今日において3.11を軽視したり無視したりするのは不可能です。とくに、3.11と同時に起きた原発事故は私たちに自らの価値観の転換を求めています。それまで安全だと思ってきた人はもちろん、危険だと考えていたり、何らかのアクションを採ってきた者にとっても「起こしてはならないことを招来させた責任の一端」を感じざるを得ないから。

少なくとも私はそう考えているので、明らかに3.11原発事故を「なかったことにする」論調や「適当なリスク管理で抑え込める」ような筋立てをする論者には警戒します。そして、今回の原発事故を無視できる案件として再稼働なんて平気で云う連中を全く信用しません。

小難しい議論でなくても原発反対や脱原発を訴えることは可能です。関西電力管内の電力予想には大きな問題がありますけど、少なくとも電力需要がピークになりそうな時期に「甲子園+エアコンがんがん」なんてのを放置しておいて原発再稼働なんて云うのは可笑しい。御用メディアの洗脳から逃れる方法は、それぞれがそれぞれで考えなければなりません。いましろさんの今回の「原発幻魔大戦」も1つの材料です。お薦め。

〔追記)原発漫画でもう1つのお薦めは「なのはな」です。