NDは秘密のサイン? その2

.opinion 3.11

先にあげたNDの続編です。例にあげた牛肉の「不検出」について販売者に問い合わせたら、50ベクレル/kgとのこと。国がスクリーニング試験で認めている精度が50ベクレルとはいえ、もう一方の検査機関の精度が6ベクレルですから差が大きすぎます。NDって、やっぱり秘密のサインですね。

・・・

とかなんとか書いていると、昨日、某自治体の議員さんから横浜市はきちんとデータを出しているよとのメールがありました。どれどれと覗いてみると、ほぉ~、こちらは、たしかにきちんとデータを出しています。

測定対象は市内農畜産物その他で、分析項目は放射性ヨウ素、セシウム134、セシウム137の3つ。分析結果はきわめて低く、不検出なものも多いことがわかります。横浜市がまっとうなのは、(私が先に指摘したように)検出限界を欄外に明示していること。それもきわめて精度の高い機器を使っているようです。消費者の立場を考えれば、これが当たり前の対応だと考えますが、どうも横浜市などは例外のようです。

同じページに神奈川県の検査結果へのリンクがあるので、そちらも覗いてみました。「不検出」のオンパレードなのに、検出限界の説明は一切なし。これではいったいどれくらい以下なのか全くわかりません。福島県の検査結果もNDがずら~と並んでいますが、検出限界の説明はなし。

最初に述べた例のように、国の規格では検出限界50ベクレル/kgでオッケイなので、49でもNDと表示できます。これでは、先の横浜市の分析結果よりも汚染されているのに「不検出」になり、精度の良い分析機器できちんと測定した方が不利になり、アヤシイ精度で「不検出」を連発した方がお得?!になってしまいます。誰が考えてもおかしな話じゃないですか。これが検出限界を明らかにしないND、あるいは「不検出」の正体です。

それにしても神奈川県の農産物の3月期のデータの凄まじいこと! 平塚市のホウレンソウで放射性ヨウ素が1700ベクレル/kg、放射性セシウムが230ベクレル/kgなんてデータまであります。そんな野菜は出荷停止にしていたのでしょうか。そうじゃなかったとしたら、福島県ほどではないにしろ、(期間は数週間とはいえ)神奈川県の人も相当汚染された野菜を食べていたことになります。後日データはこれこれでしたって云われても、まるで「後の祭り」の体内被曝ですね。

もうひとつ。厚労省は「牛肉中の放射性セシウムスクリーニング法」を定め、規制値(500ベクレル/kg)の半分をスクリーニング値として使うことを通達しています。放射線検査を行って放射性セシウムで250ベクレル/kg以下なら、(国の表現でいえば)「検査結果を確定する必要なし」となり、50ベクレル以下どころか……な話になってしまいそうでオソロシイ。

一方、横浜市の牛肉のデータをご覧下さい。横浜市では数ベクレルの分析結果が示されているので、検出限界50ベクレル/kgではないことが一目瞭然。神奈川県の検査とは大違いです。

皆さんは、検出限界表示なしの「不検出」と、横浜市のように数ベクレル/kgと発表されているお肉とではどちらが信頼できますか? 云うまでもなく、横浜市の数ベクレルの方が正確で安心です。数値によっては選択できないモノも出てくるかもしれませんが、データを出すという点においては横浜市の対応がいかに優れているかは明らかです。

とにもかくにも、NDにご用心。

(追記)福島で手に入る食品の放射線量の分析なら、市民放射能測定所という団体がきちんと分析結果を公表しています。市民団体がお金を出し合って運営している、実にまっとうな機関です。国や福島県はこういう処にお金を出すべきであり、まるで隠蔽目的のような某サイトを立ち上げるべきではありませんでした。