ロビンを待っていたら・・・

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ニューヨークタイムズ誌に「私はアメリカ株を買う」という、先日世界第二位のお金持ちであるW.バフェット氏の刺激的な意見表明が載っていました。ポジショントークはあるとしても、お金持ちはこういう時に動くのだなと伺わせる出来事でした。

*W.Buffet,「Buy American, I am 」(2008/10/17)をお読みになりたい方は、http://www.nytimes.com/ に行き、読むことができます(フリーですが、 会員登録要)。

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なぜ今買いか。
Buffet氏は「他人が強欲な時はおそれ、他人が恐れおののく時は欲を出せ」という相場のルールを示し、恐怖が蔓延する今に注目することを表明します。ご自身は短期的な相場を予測することができないと云いつつ、一方で経済が回復する時には株は騰がるはずと喝破しています。

またBuffet氏、下がった株価はいずれ戻すという過去の経過を説明しながら、「悪いニュースは投資家の最良の友」とまで言い切っています。株価が簡単に戻るとは思えませんが、資本主義的世界観というのはそういうものでしょう(是か非かはとりあえず横に置きましょう)。

Buffet氏は記事の中でいくつか面白い例えや名言を引いています。たとえば、アイスホッケーの名選手ウエイン・グレツキーの言葉で、「わたしはパックの行方を追うのであって、パックがあった場所に滑っていくんじゃない」(勝手訳)。要するに株価の未来を追えとBuffet氏は云いたいのでしょうか。

もうひとつ。So if you wait for the robins, spring will be over ってのがありました。唐突に出てくるこの文に違和感を感じていましたが、昨日やっと謎が解けました。ロイター日本語版では「こまどりを待っていたら、春は行ってしまう」的な訳でしたが、たしかに表面的にはそうでしょう。でも、これはもっと含蓄深い。

robinsで辞書を引くと、Jackie Roosevelt Robinsonなる名前が出てきます。大恐慌を乗り切った大統領の名前を含む、この野球選手は大リーグ初の黒人選手。その背番号は永久欠番になっているそうです。

もう私の言い分はおわかりですね、つまり、Buffet氏はこう云ったのです。

「オバマを待っていたら、株価は跳ね返ってチャンスはオシマイ」、

そういうことなんでしょう、きっと。springのsが大文字でないことにも注意すべきですね。11月の米国大統領選挙を控えて明快な云い方ができなかったのか、それとも彼独特の言い回しなのか。

実は私もロビンを待てませんでした。ただし、相手は欧州や新興国の株。米国やドルの未来には拭いがたい不信感もあり、未来はどうあってほしいかという個人的な希望を込めて、のストーリー。