埼玉プール事故:根源的な過失責任をあぶり出した東京新聞と毎日新聞

プール事故

(お詫び)最初東京新聞だけのスクープであるかのように書きましたが、さきほど毎日新聞にも同じような記事が出ているのを知りました。申し訳ありません。多くの方々に誤解とご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。したがって、この稿、13時時点で書き換えました。

今日9日の東京新聞1面に「吸・排水口 チェック項目外  埼玉県プール開設届に不備」という記事が出ています。一方、毎日新聞には「プール事故:03年度以降、一度も検査せず 所管の保健所」という記事が出ています。先日来私が指摘していた、「吸水口・排水口の危険性を無視あるいは軽視した危険なプールを設計し、そしてそれを許認可した方々に最も重い責任があるのではないか」という点の、許認可責任の部分が白日の下に晒されました。要するに、「あぶないプール」を埼玉県(保健所)が認めていたというわけです。ホンマにこの責任は重いと考えますが、関係者の認識は如何?…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東京新聞のインターネットサイトに載ったものによると、まず「(埼玉)県のプール維持管理指導要綱がプール開設者に義務づけている開設届に、吸・排水口について記載する項目を設けていないことが八日、分かった」、そして「(埼玉)県所沢保健所は同日、この項目がないのを理由として、事故のあったプールの吸水口の安全対策を審査してこなかったことを認めた」と書かれています。

毎日新聞には、県プール維持管理指導要綱が「02年に改正され、吸排水口のふたをネジやボルトで固定することや、遊泳者の吸い込みを防止するための金具設置などが明記された」、そして「保健所は、届出内容が要綱の施設基準に適合しているかを審査し、整備改善の指示や勧告を行う」はずなのに、「所沢保健所は一度も立ち入り検査をしていなかった」と記されています。つまり、「吸水口のふたを針金で固定するなど国の施設基準に反した危険なプールを、監督すべき行政が検査もせず見逃していた形だ」というわけです。

プール開設の許認可権限をもつ責任部署である県保健所が、問題のプールの危険な吸排水口設備をチェックせずに(申請書類になかったからという理由で)、いとも簡単に開業許可を与えていました。こういう状況では、現場に安全認識が欠如していたのもむべなるかな。これはすべての自治体に共通した話であって、何も埼玉県に限ったことではありません。現場の過失責任を追及する前に、まずおおもとの責任部署の大過失を追及してほしいものだと思う次第です。

今回のプール事故、とうとうメディアは重い責任を持つところをあぶり出してきました。責任追及が新たな段階に入ったというべきところでしょう。東京新聞、毎日新聞のご尽力に対し、感謝いたします。