食品の裏側

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食品の裏側―みんな大好きな食品添加物安部 司 著
東洋経済 (2005/11/10)

是非手にとってご一読下さい。危険だ危険だと脅かすのではなく、まず添加物の実態を知って欲しいという著者の意気込みが伝わってきます。でも、その内容があまりにも凄まじいため、かえって今の食べ物の怖さを明らかにしてしまった、というべきかもしれません。…

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サブタイトルは「みんな大好きな食品添加物」で、帯に「知れば怖くて食べられない」とあります。その内容たるや、す、すさまじい。さすが元添加屋さんの話です。

ある時、自分が作った製品を自分の子どもが食べているのに遭遇し、自分の仕事の愚かさを悟り翌日仕事を辞めたとのこと。その製品とはミートボールで、産廃になるようなドロドロのクズ肉をたくさんの添加物でかためたような代物だったそうな。そんなの今でもスーパーなどで売っていますから、多くの人が日常食べているのではないでしょうか。

この本にはいろんな食べ物の正体が暴露されています。100キロの豚肉が130キロのハムになるのはどうしてか。30キロ分の混ぜ物をするからですが、その混ぜ物とは何か。また、低塩梅干しの正体とは何か。添加物の中に梅干しが入っているようなものだったんですね(唖然)。

私にとって圧巻だったのはコーヒーフレッシュ。油に界面活性剤を混ぜ、香料などを入れて作るとのこと。ミルクや生クリームは一切入っていません。ミルクと勘違いして添加物を入れているだけではないですか。私はこの手のモノに近寄らないのでいいといえばいいのですが、使っている方はご注意ご注意!

さて、もろもろの食べ物モドキにどう対処すればいいのか。これがなければ「買ってはいけない」等と何ら変わりはありません。一世を風靡した「買ってはいけない」の講演会では、買っていいものを教えて欲しいとの質問が多々出たらしいのですが、満足な選択指針がなければ、別の危険なモノの餌食になりそうな気がします。

では安部さんの方はどうか。まず情報公開。これは私も同意。食品添加物のメリットを忘れてはいけないという下りは、誰のためのメリットなのかが明記されない限り、解釈に困惑しますが、まぁそれはさておきましょう。提示された「上手につきあうポイント」、食育の大事さ、父親の家事参加、そして舌を取り戻す作業、「まごころ基準」、・・・どれも納得します。

消費者が食品添加物蔓延の片棒を担いでいることもしっかり指摘しながら、一人一人の今後の選択が「食と心を変える」というまとめになっています。いたずらに恐怖感を煽っていないのが救いであり、本書の命だと思いますが、実態をストレートに伝えることが返って恐ろしさを明らかにしています。

ホンマ、食べ物には要注意ですね。まぁ、私のHPの読者には必要のない本かもしれませんが、危ない食べ物の話ネタとして、あるいは、あなたの食生活を変えるきっかけとして是非どうぞご一読下さい。

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(おまけ)
拙宅では味噌、梅干し、パンなど自分で作れるものは自分で作っています。また、農薬を使わずに日々努力して美味しいものを作り出している生産者からお米やミカンなどを購入しています。ハムみたいな手の込んだものでも、添加物を使わずに作っている業者に注文を出しています。理由は簡単で、安全なものを食べたいのが第一。二番目に食文化を守るために日々努力している人たちとのお付き合いを大事にしたいという思いから、です。

そんな食べ物は値段が高い…と敬遠する向きもあるかもしれませんが、べらぼうに高いわけではありません。むしろ、自分でいろいろ作ってみると値段の高さの意味にすぐ気づきます。また、余りものが出ないように大事に使い切れば返って割安かも。

それよりも何よりも、安いものはなぜ安いのか。そこを考えなければなりません。安部さんの本でも指摘されていますが、安いものにはそれなりの秘密があります。その秘密が食べ物の安全性を脅かしていないか、あるいは食文化の今後に問題がないものなのかどうか。安物買いの命失いにならないように注意していきませう。

ちなみに、私が手に入れている食べ物関連は

お米:黒瀬農舎
ミカン:無茶々園
ハム・ソーセージ:ぐるめくにひろ または
もくもく手作りファーム
自然酵母:クオカ

それに近所のお店で水車の夢。一般に自然食品店というのは奇妙なモノを売るので、あまり好きではないのですが、ここのオーナーの人柄がいいのと、安全野菜を入荷して下さるので日々助かっています。皆さんのご近所にもそういうお店があればいいですね。

その他、安全な農産物の産直を利用している人も多いかと思います。それぞれでいろいろと考えていけばいいだけですが、大手生協にはご用心。組織を無前提に信用する前に、売られているものを自分で確認してはどうでしょうか。