お金はいつも正しい?

.Books&DVD…

お金はいつも正しい (双葉文庫)堀江貴文さんの本のタイトルは「お金はいつも正しい」。
2011年に単行本で出版されたものが今年の夏に文庫本になりました。ホリエモンについては、メディアがあること・ないことゴチャマゼにして流し続けて悪者に仕立て上げたため、良い印象を持っている人が少ないかもしれません。でも、彼の云っていることは至極まともです。だいたい、大メディアが悪人だと喧伝するような場合には別の理由を疑えというのが鉄則です(苦笑)。

・・・

もともと私はホリエモンはどちらかというと好きな方です。だって、云っていることは至極まともだし、主張も内容があって価値あるものだと考えるから。

この本もなかなか面白い。「お金は信用そのものである」、「若く有能な社員が正当に評価されない日本」、「貯金は美徳という思考停止状態では人生を豊かにすることはできない」、「ギャンブルは娯楽以上でも以下でもない」、「既得権益にあぐらをかく上の世代 この搾取構造を壊すには行動あるのみ」、「お金の正しい使い方を理解すれば あなたも豊かな人生を送ることができる」等々、見出しだけを取り上げても至極まっとうで鋭い指摘です。

じゃ、堀江さんのことを守銭奴であるとか、社会秩序を破壊するような怪しい人物だと大メディアが喧しく取り上げたのはなぜか? 当時そうだそうだと思った人・あるいはわからなかった人でも、ポスト3.11の今ならわかるはず。彼は日本放送やフジテレビを支配下に置こうとしたが故に世の権力者の怒りを買い、腰巾着である新聞テレビを使ってあること・ないことを書き立てられ攻撃されたのだ、と私は考えます。

ホリエモンは会社の会計を誤魔化したじゃないか、インサイダーだってやったんだろ?悪い奴じゃないか、そう云いたい人も多いことでしょう。まぁそれはそうだとしても、同じようなことをもっと大々的に犯していたオリンパスや野村證券が未だに生き残り、ライブドアが消え去った事実をどうやって説明したらいいのでしょうか。

要するに、粉飾決算であれインサイダー取引であれ、権力中枢にとって都合の悪い者は叩くが、仲間内なら優しくお咎めなしか、あってもトカゲの尻尾切りや軽微に済ますというのがこの国のやり方だということ。アメリカとの関係でいえば、鈴木宗男さんや小沢議員のケースも同根でしょう。3.11以降でもそんなことはないなんて思っているなら、深刻な症状だと云わざるを得ません。

最後に注意。
堀江さんの本は面白いし、世の中の真実を鋭く突いています。でも、そのまま鵜呑みにしてはいけません。まず、タイトルの「お金はいつも正しい」は変。私なら「お金は正しい。でもいつもとは限らない」と云いたいところ。

お金がいつも正しいなら、お金で計れないモノはいったい何になるのか。お金がいつも真なら、お金で計れないものは抜け落ちてしまいます。これは世の中の一面しか見ていないのといっしょ。また、お金で計ったモノの価値も経済成長もみんな正しい等と拡張して考える人が出てくると、世の中には堀江さんが望まない守銭奴らが闊歩してメチャクチャにしてしまいます。その辺を注意するなら、この本は読むべき価値あり。