椒麻

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美食の続きです。
今回「京 静華」で味わったものの中で印象的だったのが、蒸し鶏の椒麻ソース。椒麻(じゃおま〜)というのは、山椒の「椒」+辛いという意味の「麻」。「京 静華」ではフレッシュなものを使ってグリーンの色合いを際立たせていました。これは山椒のうまい使い方ですね。自宅でもできそうです。


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「京 静華」の、蒸し鶏そのものがまず良い。火の遠し方が微妙で、身は固くならないように工夫されていました。その上にかけられているのがフレッシュな椒麻ソース。胡麻の香りを感じなかったので、油は違う種類だったのか、それとも油そのものを使っていなかったのか、はっきりしません。

山椒の辛味というのはサンショール(って、そのまんまの名前ですね)、唐辛子のカプサイシンとは違います。しょうがとネギなんて、すべて薬味食材なのに、3つを合わせると辛味が少しマイルドになったような感じになるのが不思議です。蒸し鶏の味を邪魔せず、辛味で際立たせる組み合わせは中国3千年の知恵の1つなのでしょうか。なかなか!

くだんの椒麻ソース、白ネギとショウガ、それに山椒(本来は乾燥した花椒)を細かく刻んでタネとし、それにスープや胡麻油、お酢等で伸ばしていくというのが作り方。「京 静華」では、中華包丁で丹念に叩いていくとのことでしたが、まぁ家庭ではバーミクスでもいけるだろうということで作ってみたら、それなりにできました。

数日前は椒麻ソースの油をオリーブオイルにしてパスタのソースに使ってみたら、山椒の量が多すぎて唇がピリピリ(爆)。でも、なかなかの美味。まさしく味をしめたので、ネットで調べると、ネギ2に対し、山椒大さじ1、しょうが大さじ1くらいの配分ですが、粉状態の分量比ではちょっとわかりにくい。あれこれ分量を調整しながら試作を繰り返し、白ネギの量でコントロールすれば何とかなることを掴みました。

手前味噌ではないですが、辛味や甘味を自分で調整できると、できあがりもなかなかオツなもの。ちょっと幸せなひとときです。

中国の古い話で、「頭の中に入れたものとお腹の中に入れたものは決して盗まれることはない」というのがあるそうです。若い頃に知った諺でしたが、それ以来私の座右の銘の1つとなりました。経験やその記憶は財産みたいなものですし、記憶に残るような経験をさせてくれる食材や食べ物と出逢うことは幸せの極み。改めてそんなことを考えさせてくれたソースでした。