3つの事故調

3.11

東電福島第一原発で何が起きたのか、この事故を調査する委員会が現在3つあります。知っているといいんですが、ごっちゃになっているといったい何がどうなっているのかさっぱりわからない状態になりそうです。要注意。

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まず、政府の事故調委員会。正式名称は「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」。委員長は「失敗学」の畑村元東大教授。副委員長に柳田邦男(作家)さんを配しています。取材対象の刑事罰を問わないので本当のことを話してくれというのが委員長の言い分で、調査のヒアリングについては公開されていません。良くも悪くも畑村さんのキャラクターが目立つような感じ。

2つ目は国会の事故調。こちらは「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」というのが正式名称。
この委員会には崎山比早子さん(被曝研究)、田中三彦さん(作家)、石橋克彦さん(地震学)それに児玉龍彦さん(東京大学アイソトープ総合センター長)らが参加しており、 公開で調査が進んでいます。ただ、委員長の黒川清さん(元東大教授)は自民党安倍政権の時に内閣官房特別顧問だったことも記憶しておきましょう。

ここ数日、311事故当初に東電が原発から撤退しようとしたのか、それとも官邸側の誤解なのかという点について、この国会事故調は東電社長の言い分が妥当などと委員長が言い出し、前総理や枝野大臣らが抗弁しています。(月毎のレポートみたいなものだと称しての)委員長発言は、委員間の議論を経たものなのかどうか不明です。

そして3つ目は民間の事故調。メディアがこれを民間事故調査委員会などと称して紹介するので、ほとんどの人はちゃんとした委員会みたいに思い込んでしまっていますが、既に紹介した通り、一部の原子力マフィアの資金に基づいた委員会。この調査については東電が取材に応じていないらしく、東電を含む電力会社の利権とは違うグループが勢力を握っているものと考えられます。これは原則無視してもいいでしょう。

それにしても、それぞれ独自で「調査」しているので内容がばらばら。行政府と立法府は独立なので、別個に調査委員会を設けたというのでしょうが、建前はともかく、整合性のない報告書が出てきたらどう評価するのでしょうか。それとも、ばらばらな報告で国民を混乱させるのが本来の目的なのでしょうか。

これだけ深刻な事故を起こしておいて、『被曝を強制される側』の批判的視点を入れない調査委員会なんか、いくらやっても事実隠しにしか機能しません。そういう意味では国会の事故調に期待したいのですが、委員長の変則発言で何か奇妙な雰囲気になってきました。

いずれにしても、原子力マフィアは御用メディアを最大限に使って、目眩ましのような調査報告を仕掛けてきますから要注意(きっぱり)。