理不尽なお達し

3.11

あなたが何か病気の検査を受けたとしましょう。病院側が心配なしと云うので検査結果を見せてほしいと頼んだら、それはダメだと拒否された。他の医療機関でも調べようとしたら、病院側が手を回して検査させないようにしているらしい。これじゃ不安になるのが当たり前でしょう。

そんな理不尽なことをやっているのが福島医大で、命じているのが例の山下俊一副学長とくれば、何かキナ臭いものを感じてしまいます。


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驚きました。福島県ではとんでもない事態が進行中です。田中龍作ジャーナル(2012/6/2)によると、

福島県県民健康管理調査で、18歳以下の子供38,114人を対象に行われた甲状腺検査。うち386人の子供に結節(しこり)が認められたが、5ミリを超えない場合は、次の検査を受けることができない。次の検査は2年後となる。20ミリ以下の嚢胞(のうほう)も同様の扱いを受ける。

山下副学長から甲状腺学会の医師あてに「おふれ」(写真)が回っているためだ。「保護者からの問い合わせがあっても次回検査まで追加検査の必要はないことを充分に説明するよう」とする内容である。

とのこと。その証拠文書が写真で掲載されていました。

要するに、甲状腺のシコリが小さい場合には2年待たないと次の検査を受けられない、受けようとしても追加検査の必要はなしと説得せよ、というわけです。こどもへの影響が心配な親たちにとって、シコリのサイズよりも有り無しがまず問題でしょうから、このお達しは理不尽です。

おそらく、限られた予算の中では山下らが必要とするもの以外の検査はしたくない、余分なものにはお金を出せないというのでしょう。でも、他で追加検査を受ける自由まで剥奪するお達しは異様です。再検査されると困ることでもあるのでしょうか。もし県外で検査を受けたら、福島県の患者ではないとして被曝者リストからはずすつもりでしょうか(有りそうだな)。

ヒロシマ・ナガサキでは被曝範囲を限定して、それ以外ではなかったことにしたのが原爆による被曝被害でした。それを実行したのが山下の先達ら。今回山下が狙っているのも同じような操作なのか。福島県の被曝者を封じ込め、彼らの都合に合ったデータを作りたいのではないかと勘ぐってしまいます。

そういえば、「通販生活」の2012年夏号では巻頭対談で山下俊一を中心に据えて緊急座談会。この記事は、山下の思惑を知るにはなかなかイイ教材です。余談ですが、対談の司会は神谷さだ子さん。彼女は、知る人ゾ知る右翼笹川財団の資金でチェルノブイリ連帯をやっている人で、山下、長瀧、重松ら御用学者とは付き合いが長く深い。

その対談の中で、先の田中龍作ジャーナルで問題になった件についての言い訳が延々と述べられています。曰く、甲状腺ガンの診断は難しいので高度な診察が必要、現段階では集団検診法を駆使しているからセカンドオピニオンは必要なし、とのこと。余計なお世話ですな。

あげく、山下副学長は低線量被曝について、「規制防護の立場」と「健康リスクの立場」の両方がある等と珍妙なことを云いだし、自分は後者の立場で説明してきたが、100ミリシーベルトが安全のレベルというわけではない等と解説を始めています。逃げ始めましたね。いずれにしても、立場の違いで放射線の影響が変わるはずなんかありません(怒)。

この人がそういうことを言い出した背景には、先に触れた浪江町での被曝データ実態の深刻さがあるのではないかと私は考えます。つまり、厄介な未来を先取りし、自らの責任回避を図り始めたのでしょう。理不尽で卑劣な人であることよ!