口福の乙女寿司

.Travel & Taste

先週また金沢へ。誕生日祝いに何食べたい?って聞かれ、乙女寿司と応えたら連れ合いのおごりで行こうということになりました。ラッキー。

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1月末大雪で大変だった北陸地域。福井辺りはまだ大量の積雪ですが、金沢はどこに雪があるの?状態で晴れ。あれれ。乙女寿司の鶴見大将に聞くと、あの1末の日曜月曜と2日お休みをいただいていたので気持ちに余裕があったが火曜に魚を仕入れようとしてもほとんどなし。新鮮な魚が命の寿司屋にとって雪やシケは理不尽な暴力みたいなものですね。

寿司なんか回転寿司で十分なんて思っている人は以下を読んでも意味がありませんが、一言云わせてもらえば、美味しい寿司を知っているのと知らないのでは世界は大違い。

最高のお寿司は、酢飯の上にネタを載せただけのスシとは全く別物です。見た目は同じように映りますが、口に入れた時、ネタとシャリが一体化し、ゆっくりほどけていくようにネタとシャリを味わえます。食べ比べてみるまでもなく、その違いは明らか(きっぱり)。

最初にネタの食感を感じ取り、その香りや風味が鼻に抜けた後、噛み込むとお魚と酢飯がいっしょになった複雑な味わいが立ち上がり、最後はお魚本来の味わいが名残惜しくも尾を引くように残り、幸せな気分になります。口の中の幸せを口福感とは良く云ったモノ。これに合う日本酒があればもう最高。云うことありません。

乙女さんではいつもそういう口福感で満たされます。下仕事の巧みさや包丁の確かさは云うに及ばず(そういうワザはある程度の寿司屋さんなら当たり前)、そんなものを自慢することもなく客に媚びることなく美味しいものをスッと出す大将の器量が素晴らしい。本当に素晴らしい。サポートにつく猪口さんの仕事も同じく清々しくワンダフル。乙女さんにはタカビーな緊張感はありません。ゆったり気ままに美味しさの時空間を楽しめます。

私らが伺った先週金曜日晩もいつもながら堪能させていただきました。玄関先は雪囲い寒気除けの簾がかけられ、綺麗な大ぶりの花(連れ合いが聞いたところアマリリスとのこと)が迎えてくれました。室内にもさりげなく桃が生けられているのが季節感の演出というのが乙女さんの隠し味?!。

さて、この日は関西と関東辺りのお客さん、その他5時から来店していた3人客が幸せな気分になれましたが、二八の閑散期でも遠来の客でいっぱいになるのは次第に乙女さんが全国区になってきたから。私らは年に三回前後は訪れていますが、新幹線が金沢まで来れば予約もままならない日が来そうでコワイですわ、ホンマ。

最近といえばスイスから予約の電話があったとか。あるいは電話番号を聞いたら嘘みたい数字だったのが実は外国から日本語堪能な外国人だったとか。あ、そうそう、前々回だったか、地元ホテルの紹介でブラジル人観光客がやってきたとかも聞きました。そんなグローバルな話を聞くにつけ、美食は国境を超え、美食家も世界中を駆け巡るんだね〜と納得。意を強くしました。

* クチコとコノコの2色だし

そんなことを外国にいる友人にメールしていたら、今度来日したらいっしょに行きましょうとの話になりました。来月も乙女さんに席を予約しているし、今年は何回行くことになるでしょうか。そういうのを目途にすれば毎日の生活にハリが出てきますね。

その日一番の美味しさだったブリカマ
皮はパリパリ、身はしっとり、味は上質の白身魚から始まり最後にブリだとわかるもの
びっくりした! 美食なフランス人に食べさせたいわ、ホンマ