なぜ村木さんは狙われたのか

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冤罪法廷 特捜検察の落日今年の重大ニュースとして忘れてはならないのは厚労省・村木局長の無罪確定。
特捜がいかに滅茶苦茶なことをやっていたかを世間に明らかにしただけでなく、これから始まるかもしれない「特捜検察の落日」に他ならないから(そうあって欲しいという期待を込めて)。ところが、鈴木宗男さんが云うところの「闇の権力」がこわいのか、メディアはそのことをきちんと伝えません。一方で、魚住さんの本はまさにアップデートにこの事件を伝えています。だから貴重で必読!

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日本の刑事裁判では無罪となる比率は0.1%しかないそうな。起訴されれば1000人中999人は有罪というわけ。日本の検察警察が優秀なのではなく、無理やりに有罪に仕立て上げるからだというのが識者の言い分です。

検察に迎合したメディアのせいで新聞TVで悪く書かれる人物は皆有罪と思うかもしれません。でも、事件を仔細に眺めると、ホンマはそうではなさそうだなと思うことが多いんですね〜。

三浦和義さんの事件なんかがそう。和歌山のヒ素カレー事件もその傾向がありそうだし。最近では鈴木宗男さん佐藤優さん、あるいは小沢さんもそうだし(いくら利権政治家らしいからといってもデタラメ起訴に正当性はありません)、村木さんの件もそうでした。有罪率99.9%というのは、本当は無罪の人まで有罪にしているが故の率であるというのを知っておかねばなりません。

村木さんの事件で特捜検察が描いたストーリーとは、「彼女がある政治家の依頼を受け障害者団体の証明書偽造を行った」というものでした。事実関係は本人らの否定と動かせない日時や場所の事実関係ですべて覆されたのはご存じの通り。もともとこのストーリーを特捜に売り込んだのは朝日新聞という噂もありますが(真偽不明)、東京地検が無理だと判断したのをわざわざ大阪地検が強引に行ったという話だったらしい(出典あり)。自分で情報を売っておいてスクープってやるのは売文メディアの常套手段なのでありそ~ですね。最近の朝日は酷すぎますね(余談でした)。

村木さんに依頼したと指摘された政治家は民主党の石井一さん。小沢さんの懐刀の1人。私も某筋からこの話を聞いたので以前このブログにもその辺をチラリと書きましたけど、ガセだったんですね。特捜の狙いは石井さんの先に繋がる人物までをターゲットに入れていたのではないかと推察しますが、石井さんには完全なアリバイがあり、アテははずれてしまいました。

最初にストーリーありきの立件起訴を根本的に止めない限り、いくらトップの首をすげ替えたところで同じような事件は何度も繰り返されるでしょう。オソロシイ。もし自分に同じような攻撃がかけられたら、「虚偽の自白」をせずに耐えられるかどうか。そういう意味で村木さんの忍耐力精神力は凄いことだと絶賛します。素晴らしい。

ところで、この本の後書きに面白い記述があります。
著者の魚住さんが村木さんの担当弁護士である弘中淳一郎氏に、いつ頃から誰の紹介で村木さんの弁護活動を始めたかと問うた箇所。驚くことに、村木さんの逮捕拘留される前から、今回の一連の事件が起きることを知っていて防衛対応を図った人たちがいたらしい。検察内部の情報に明るく、一流弁護士の采配までできる人たちとはいったいどんな集団なのか? 実はそこら辺がこの事件の真相というか、深層を見せているような気がしますが、どう?