サヴァランとヴォーリズ

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美味礼讃 (上) (岩波文庫 赤 524-1)ブリヤ・サヴァランといえば名文句いっぱいありですけど、その内の1つに「君はどんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあててみせよう」があります。これをもじったのが建築家のヴォーリズ。

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ヴォーリズとはメンソレータムの近江兄弟社の創業者。でも建築家としての受けがいいのか、そちらが良く引き合いに出されます。設計したものは全国津々浦々、有名どころもいっぱいで関西学院大、神戸女学院、同志社大、大丸百貨店、山の上ホテル……、いっぱいありますね~。あ、そうそう、町長リコール問題までに発展した滋賀県豊郷町の小学校も彼の作品でした。

そのヴォーリズがサヴァランの先のフレーズをもじって、こう言ったそうです(出典本ど忘れ)。

 あなたの家を見せて下さい。あなたがどんな人物なのか言い当ててみましょう。

私がこれを知ったのは自宅を建てようとしていた’98年。ビンタされたような驚きを覚え、ちょっとコワクなりました。というのも、その頃家は買うものだと思ってハウスメーカーの展示場めぐりをしていたから。

見る人が見れば、家は居住者の人となりを現すのだろうか? だとしたら、こわいなぁ。
とすると家というのは自分を映す鏡のようなものなのか。 たしかにありそうだなぁ。
こりゃ真剣に考えないとアカンなぁ。

そう考えると、具体的な家の設計以前に、自分はどんな人物でどんな生活を希求しているのかを整理しないと話が始まりません。でも、おかげで視界が開け、私たち夫婦なりの家づくりが始まったのです(その経緯は、数年前に出版する予定だった本の中で書いたのですが、その本自体を自分でオクラにしたので未発表)。

つまり、サヴァランの先の名文句がヴォーリズ経由で自分を知れと教えてくれたわけで、今から考えると住も食も自分を映す鏡だと(ホンマはごくごく当たり前のことを)理解したのは大きな一歩だったなぁと思う次第です。