カニ三昧

.Travel & Taste

先週末は北陸カニ三昧。1日目は三国港近くの望洋楼、2日目は金沢で乙女寿司、3日目は近江町市場で生ガニを買って自宅で焼ガニ。横歩きしそうな位に旬の味を堪能しました。

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望洋楼は7年ぶりの2回目。三国港の大きなカニを惜しげもなく捌いて焼いて茹でて美味しく食べさせてくれます。食事付きの宿代もそれなりですが、港に近いという地の利を活かし、カニの大きさや鮮度ともに値段以上。カニを食べるのが主目的なら、やはりカニ専門旅館ですわ。

以前は足の刺身、焼ガニ、茹でガニ、カニ鍋…でしたが、今回はカニ鍋がなくなり、代わりにカニごはん。実際のところ、カニ鍋の前段階でお腹いっぱいになるので蟹ごはんの方が合理的です。

今回改めて知ったのは焼ガニの旨さ! 巧みな仲居さんがうまいこと焼いて下さり、ほっくら煮立った蟹ミソに身をつけると至福の味! 身だけでは決して味わえない深い深い味わいに夫婦ともども大感動でした。

2日目はなじみの乙女寿司。お寿司の美味しさは折り紙つきで、年に数回訪れる金沢のお寿司やさん。カニの季節になると、香箱ガニとカニのお寿司が出てきます。香箱とはコッペとかセイコとも云われる雌ガニのこと。オスにはない内子、外子が美味。それにしても、さすが金沢、呼び名にも品を感じますね。

今回は大型の香箱とオスガニの身をつまみとして頂きました。香箱の旨さは云うまでもなく、茹でオスガニのミソ和えはとっても美味。これは絶品。ランブロワジーのランゴスティーヌに匹敵するくらいの深い深い味わいですが、あちらは1皿130€であることを考えるなら、乙女さんのカニミソ和えはとんでもなくコスパが高い(笑)。こんなの知ってるか・食べたことあるかってタンカを切って、フランス人に食べさせたいくらいだな。

聞けば、乙女さんとこ自身で水〆してから茹でているとのこと。残酷ですけどね〜と大将の弁。でも、おかげで美味しいカニが食べられるわけですから、毎朝カニさばきに忙しいという猪口さんの「仕事」に感謝。

最後は近江町市場で買った生ガニを自宅に持ち帰り、炭で焼ガニ。望洋楼みたいには上手くいきませんでしたが、まぁそこそこ。市場で朝茹でと書かれているカニの鮮度には少し難ありかもしれず、買うなら生が一番ですね。持ち帰るのが手間だけど。

ところでカニミソ。あれはいったい何なんだという疑問が食べながら表出。調べてみると、中腸腺のこと。要するに内臓なんですね〜、あれ。肝臓と脾臓の機能を併せ持つ内臓だそうで、だとすると一種のフォアみたいなものですか。だからあんな味なんですかね〜。知らないことだらけをまた痛感した秋の夕べ、です。

さらについでですが、カニの相場について。三国港の土産物屋さんで見ると、1キロ前後の雄ガニで1.5〜2万円くらい。日本で一番高い浜値ということですので他は少し安くなるのかもしれませんが、高いですねぇ。これを山代の温泉旅館で頼むと1パイ3万円前後に跳ね上がります(笑)。一方、雌の香箱ガニの方は普通サイズで1000円前後。これも大きいものは数千円しますが、小さなものは一盛り3つ4つで1500円というのを近江町市場で見ました(金沢産)。

京都や滋賀の魚屋さんで見かける4〜500g程度の小さな雄ガニで6000円前後でしょうか。重さで足の太さがかなり違ってきますので、食べ応えも当然変わってくるでしょう。また、「足折れ」というのがあって、これは値が下がりますが、モノやサイズによってケースバイケース。茹でる時には折れた部分から味が逃げ出すので注意がいるというのをどこかで読みました。ご注意下さいまし。

そんな高価なものですから、雌の香箱ガニで十分・内子は美味いし…と今まで思っていましたが、活きのいい雄ガニのほっくらした身をカニミソで食する時の味わいを知ると、甲乙付けがたいというか、雄ガニもいいなぁと思ったりします。