トランプ 立憲民主 消費税
2025/04/23
米国のトランプ大統領が「日本が消費税をやめれば関税をやめる」と云ったという話が先日流れましたが、これはガセネタ。発信源はBreakingNewsとのことでしたが、ネットオンリーのニュースサイトは虚偽・誘導・洗脳・何でもありですから信用性に乏しく要注意。でも、話題にしたいのはそこではありません。今回話題にするのは日本の消費税の本質というか、本当の目的について。
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結論からいえば、日本の消費税は輸出産業へ補助金を出すのが目的。このことは、10%の消費税を8%に減免してもらっている日本の新聞が触れたくない話題なので、知らない人が多いはず。消費税は福祉目的なんていう甘言に騙されている人が多いのではないでしょうか。
まず消費税の総額から。2023年度の税収72兆円のうち消費税は23兆円で、税収の30%を超えています。所得の多寡に応じて徴取する直接税ではなく、収入の少ない人の懐を直撃する間接税が3割もあるのがそもそも問題ですが、問題はそれだけではありません。
一般に国民から集められた税金は年金医療などの社会福祉サービス、インフラ設備関連、教育、国防費などに投入されますが、消費税は例外的に還付金という形式をとって輸出企業に還付されています。資料によると還付金の総額は7兆円を超えています。それでは、輸出企業はどのくらいの額の還付金を国から貰っているのでしょうか。
還付金の多い企業のトップ20社は以下の通り。(出典は全国商工団体連合会サイトから)
この表の一番右端の「還付金額」の単位は「億円」。還付金額がダントツに多いのはトヨタで、6102億円もの還付金を貰っています。トヨタ以下、自動車会社や村田製作所・キヤノンのような日本を代表する企業が輸出割合に応じて還付金を受けており、上位20社だけで還付金の総額は2兆円を超えています(全商連の計算)。なお、財務省としては還付先企業や還付金額を一般には明らかにしたくないようで、これらのデータを公表していないようです。
他の資料によると、還付金の総額は7兆円を超える大きなもので、集めた消費税の三分の一は輸出企業に還付されています。なぜこんなことをするのでしょうか。日本の消費税は国内だけのもので海外取引には課せられない(海外では消費税を徴収できない)ので還付するという建前になっています。でも、これは実はある意味ゴマカシに過ぎません。
例えば、医療機関には消費税の還付は全くありません。医療機関は薬や検査機器などを購入する時に消費税を支払っていますが、医療費は厚労省の決めた公定価格で、医療機関が患者さんに消費税額を支払ってもらうことは出来ないシステムです。このため、薬代や検査機器代の消費税額分は医療機関の自腹となっており、国からの還付は一切ありません。
一方で、トヨタなどの輸出企業は材料や部品を購入する時に消費税を支払っていますが、海外に輸出する時には海外では消費税を支払ってもらえないからという理由で、輸出額に見合う額の還付金を国からどっさり貰っています。トヨタ1社で6102億円の還付金って、多過ぎて想像を絶する額ですね。
還付金を貰える輸出企業はきわめて優遇されていると云えるでしょう。識者によると、もともと日本の消費税はフランスの付加価値税を手本にしており、出自からして輸出企業への補助金という性格を帯びているとのことです(先の出典参照)。消費税の還付金が輸出企業への大盤振る舞いだと分かると、「日本が輸出企業への大盤振る舞いを続けるなら、米国は関税引き上げで対抗する」という話が出てきた時に理解できそうです。
この消費税、最近になって立憲民主党の中から減税を公約にしようという動きが出てきました。物価が上がるのに所得は伸びない実情の中、トランプ関税で今後大変なことになることを予想して登場したのでしょう(注)。
具体的に馬淵前国土交通相が打ち出してきたのが、「現在は原則10%の消費税率を食料品と同様の8%に下げた上で、EU(欧州連合)の「付加価値税」に該当する日本の消費税を「小売売上税」に転換する」という試案です。
また、「輸出還付金の廃止で約8.4兆円〜9.6兆円の支出を削減できる」、「これを財源に消費税率を一律5%にする」という。「理論上、小売売上税へ転換しても税収は変わらない。必要財源5兆円程度で、5%に減税することが可能になる」(馬淵氏)とのこと。
つまり、税率を下げても消費税還付金を止めれば財源確保は可能だという案となっています。表向き福祉目的などと庶民を誑かして輸出企業を優遇するよりもずっとマシで私は全面的に賛成します。さて、トランプ対応で与党からも同様な話が出てくるかもしれませんが、新聞テレビは財務省の公報機関になってしまっているし(ザイム真理教に染まっている・・・)、今までのゴマカシの経緯があるので報道内容には要注意です。
(注)立憲民主党の枝野元代表は12日に「減税ポピュリズムに走りたいなら別の党を作ってください」などと減税派をけん制。立憲民主党は増税政党だと云いたいのか、それとも意見の違う者を排除しようとしたのか。どうやら彼は(故森永さんが云う)ザイム真理教の信者みたい。