『果ての国』の処世訓

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数か月前には『果ての国』の入り口でしたが、今は奥深く入り込んでしまいました。ワクチンや特効薬が出てくるまで出口はまだ遠い、そう考えなければなりません。既に京都の葵祭や祇園祭、徳島の阿波踊りは中止を発表、8月の大文字送り火の開催も怪しくなってきた中で、未だに来年のオリンピックはなんとかなると思っている人は・・・。そんな中、NYのクオモ知事の発言に注目。エッセンシャルワーカーその2です。

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日常を『月並みの国』、非日常を『果ての国』といったのはブラックスワンを著したナシーブ・タレブさん。明日が今日の続きではないかもしれない世界、ランダム性が予想を超えてしまうような世界が『果ての国』。世界中にウイルス感染者がいっぱいで、毎日のように死者が増え、身近な人も死んでしまうかもしれないという今の世界こそ、まさに『果ての国』。

わかりやすい例でいえば、観光客がいなくなってホテルや旅館を筆頭に観光産業が困窮し、日本の緊急事態宣言のようなユルユル規制でも飲食店から客が消え、各種店舗も開店休業で商売が吹っ飛んでしまいました。非情な現実に対処できなければ潰れてしまうだけ。やりきれません。

要するに、『果ての国』では『月並みの国』の論理は通用しないので、以前のような日常的な慣習やルールに拘泥しているとトンデモナイ目に遭ってしまうということ。

じゃ、みんなドン詰まりになってしまうのか。どうしたらいいのか、そんなことを考えている最中、NYのクオモ知事の発言を聞いて、なるほどそうか、それこそ『果ての国』の処世訓だなぁと納得するのがありました。(出典はABCテレビ)

ニューヨークではロックダウン(外出制限)が既に1ヶ月。多くの人々はもう何とかしてくれ、外へ出たい、仕事がしたい、経済再開を急げと言い出し、街頭デモまで出てきました。でも、感染の蔓延状況を考慮すると無症状な者が他人に感染させる危険性がある等で時期尚早、再開するにしても段階的だと考えているクオモ知事は、

The governor said those who want to go back to work should “take a job as an essential worker.”
(訳:仕事へ戻りたいなら、エッセンシャルワーカーの仕事へ就いてくれ)

そう、先日も取り上げたエッセンシャルワーカー、です。知事曰く、

“There are people hiring,” he said. “You can get a job as an essential worker. So now you can go to work and you can be an essential worker and you are not going to kill anyone.”

(訳)必要不可欠な仕事は人を必要としている。それらに就けば他人を殺さずに済む。

たしかに。日常に戻るのはまだ早い、今必要なのは必要不可欠な仕事だというわけです。これこそ『果ての国』の処世訓。クオモ知事の説明を聞いていると、彼を大統領にという声が強くなっているとの話は満更ではありません。

翻って日本ではどうなのか。病院が超多忙で医者や看護師、検査技師さんらが疲弊しているのはご存じの通り。感染者の受け入れ病院では売店が撤退したり、弁当屋が入らなくなったりという話まで聞いています。これでは医療関係者が仕事をする前にバタンキュー。ここに参入しようという業者はいないのでしょうか。

また、無症状患者を病院以外に隔離するのに東横インなどがホテルを提供していますが、バックアップする人手は足りているのでしょうか。

また保健所などは超多忙な対応を行っていますが、他の部署は保健所をしっかりバックアップしているのでしょうか。エトセトラエトセトラ・・・。必要とされる仕事はいっぱいあるのに仕事がないと嘆くのは、今までの世界がすぐに戻ってくると誰もが考えているからではないのか。

客が来ない、商売にならないと『月並みな国』の倫理で嘆く前に、『果ての国』では何が求められているのか模索する方がポジティブで生産的。感染終息まで半年から1年以上はゆうにかかると推測できる今、『果ての国』の考え方を実践できる者だけが生き残れるのではないでしょうか。