3度目のステント 糖質制限と関係ありやなしや
2018/08/13
近日中に心臓の右冠動脈にステントを入れることになりました。これで3度目、心臓カテーテルは検査を入れると4度目。もういい加減にして欲しいものですが、昨年は小さかった血管プラークがかなり大きくなってきたので元気の良い内に対処しておこうと考えたからです(CT画像からある箇所の閉塞率が75%に悪化)。
問題は昨年今年に顕在化した私の血管プラークが糖質制限と関係あるのかどうか。糖質制限を薦めるお医者さんは「相関なし」とのことですが、ネットや書物によると糖質制限で心疾患リスクが大きくなるとの記載もあり。いったいどっちが本当なのか。
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糖質制限のエヴァンジェリスト、江部先生(京都高雄病院)は糖質制限しているのに心血管疾患を患った人には「高血糖の記憶」があるとし、「数年間の高血糖期間のあと、継続して良好な血糖コントロールが得られても、血管合併症リスクは、その動脈硬化の部分では、消えない」が、「糖質制限食だと血糖コントロール良好で、食後高血糖や平均血糖変動幅増大もないので、再狭窄のリスクがなく、ステントが新たに挿入されることはない」としています。(出典は過去の高血糖期間の消えない借金(高血糖の記憶)と心筋梗塞)
でも私の場合は上記には当て嵌まりませんでした。私が心筋梗塞に近いひどい狭心症を引き起こし冠動脈にステントを入れたのは2006年。その後食後高血糖に気づき、糖質制限を開始したのが2012年。2006年から2014年くらいまで血管プラークはそれほど変化しなかったのに、糖質制限の5、6年目に入って次第に詰まりが大きくなりました。つまり、「再狭窄のリスク」が増え、ステントが2本も新たに挿入されることになったわけです(3本目は近日中)。糖質制限に何か関連があるのか、それとも江部さんのいう「過去の高血糖の記憶」なのか。
ネットを検索すると、糖質制限で急速に動脈硬化が進行した例や心筋梗塞になったという例がいくつか出てきました。代表的なのが、久留米の真島消化器科クリニックのサイトで、糖質制限で血管プラークが大きくなった例がいくつか紹介されています。
翻って考えれば、あの桐山さんの死因が心筋梗塞だったのも、ひょっとすると真島医師の指摘する糖質制限のリスクの1つだったかもしれません。
じゃ、なぜ糖質制限で心血管リスクが増すのか。真島医師曰く「油は油」だから、飽和脂肪酸の摂食は血管プラーク疾患になるのだそうです。一方で、糖質制限を薦める江部医師は飽和脂肪酸と脳心血管イベントには過去のデータから「有意な相関」が見られないとしていますが(江部康二『糖質制限パーフェクトガイド』)、私思うに採用データには糖質制限以前の食事をとる人が多く含まれているため、糖質制限でどうのこうのという話ではありません(つまり科学的根拠が薄い)。
また最近出た認知症関連の本には、米国例として「繊維質が不足する場合の飽和脂肪の摂食は心血管疾患などを引き起こす」という記載もありで、糖質制限での脂質の摂食には注意を喚起しています。(出典は「アルツハイマー病 真実と終焉」D.ブレデンセン)
どちらが本当なのかは横に置いても、私の心臓が詰まりかけているのは事実。念のためにいえば、これは糖質制限を否定する話ではありません。炭水化物を減らすのは是、替わりに増やす脂肪やタンパク質の脂質内容や食物繊維の摂食に特段の注意を払っておかないと血管プラークのリスクが出てくるということ。私の場合、ここ数年バターやラード等飽和脂肪の消費量が多かったのが血管プラークが急激に悪化した原因かもしれません。
そういえば、糖質制限で10年は先を行く米国では糖質量のみであれこれ議論するのは既に過去のもの。ここ10年位は脂質の質に注目し、食物繊維の重要性、腸内環境への配慮などを解説する向きが多いのが特徴です(私が米国発の情報を勝手読みした印象です、念のため)。やっとその意味が、自身の心疾患リスク拡大で身に滲みているところです(苦笑)。
(追記)ステント留置の重篤リスクは0.5%。今まで4度は問題なしでしたが、何かあったら困るのでその前にこの稿を記す次第。