レイムダックになる前に

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fish1412驚きました。米国とキューバが国交回復するらしい。昨今の原油安と無関係ではありません。
米国のシェール開発が国際政治に多大な影響を与えることは想像できましたが、今回の国交回復は思いに至りませんでした。

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既に触れたように、最大の原油輸入国だった米国においてシェールガス・オイル開発が進んできたため、米国自身が世界最大のエネルギー輸出国に逆転という状況が生まれてきています。そうなると、中東情勢も変わってくるし、一方でロシア等の産油国の未来も大きく動く…。ここまでは私にも想像できましたが、まさか早々にキューバにまで影響が及ぶとは想像もしていませんでした(迂闊)。

だってキューバ危機に代表されるように、あわや第三次戦争かと云われる事態にまで発展していたのはケネディ政権時代のこと。冷戦時代のキューバと米国との関係は最悪でした。

200万都市が有機野菜で自給できるわけ―都市農業大国キューバ・リポート以前ミミズコンポストで紹介した、吉田太郎さんの『200万都市が有機農業で自給できるわけ 都市農業大国キューバ・リポート』(築地書館 2002) に触れられているように、キューバはソ連崩壊後に石油の輸入が止まってしまい、自力で食料やエネルギーを確保することを迫られていました。でも、その後のロシアや中南米の左派国家などとの関係でなんとか乗り切ってきました。

ところが、今度の世界的な原油安でロシアやベネズエラなどの産油国の経済がボロボロ。シェールガス・オイルの進展という将来が見えてくる中、頼りにしてきた国々が今後あてにならない状況で、キューバは米国との関係改善で乗り切ろうと舵を切ったのでしょうか。

そのキューバの思惑の一方にはオバマさん側の理由もあります。議会が共和党優位となり、残り任期がレイムダック化したオバマさん。大きな権力を行使できるのはこの年末までとなっています。期限が切られたことで腹が据わったのか、影響力を行使できる最後の最後になって、CIAの拷問レポート公開やキューバとの国交回復などを打ち出してきたのかもしれません。

原油安そのものは今年夏からの話なので、以前から両国で交渉を進めていたのでしょう。その水面下の話が大幅な原油安を奇貨としたのか。どちらにしても、世界が平和に向かうならウエルカム。良い方向に動いてほしいと願う次第です。

とにもかくにも世界的な原油安はロシアだけでなく、アブラで生きている中東やベネズエラなどの産油国にも大きく関係し、それに連なっているキューバのような国にも甚大な影響を与えています。さてさて日本にはどう影響するのか。あれこれ考えるここ数日です。