ソハの地下水道

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ソハの地下水道 [DVD]映画、ユダヤ人、ウクライナの三つをキーワードにするなら、昨日アップの「WUNDERKINDER」以外に「ソハの地下水道」も該当します。この映画はポーランド、ドイツ、カナダの合作で、舞台はポーランドのルヴフ(当時)なのですが、今はウクライナのリヴォフ。ポーランドやウクライナという土地柄が今も昔も大国に翻弄されているということでしょう。

それはさておき、この映画は昨年観て感想を書いたつもりだったのに、ありません。書くのを忘れていました。

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前回同様、こちらも第二次世界大戦時のユダヤ人への弾圧話。ユダヤ人ゲットーの地下水道(下水道)へ逃亡したユダヤ人を、行きがかりで助ける下水業者のソハが主人公。ドイツ軍や同調するポーランド軍将校らから14ヶ月も逃れた実話を基にしています。詳しい映画のストーリーや関連話についてはWikiに載っていますので、ご興味の方はそちらをどうぞ

地下水道といえば、なんか水道みたいな感じがするかもしれませんが、実際は下水道のこと。汚水に雨水、それに群がるネズミなどの小動物等々で、要するに「暗い」「汚い」「くさい」でお世辞にも快適だとは云えない地下空間です。そこに14ヶ月も潜んだという話に、まず私は卒倒しそう。

そんな空間で地上から補給される食事をしたり、祝い事をしたり、驚くべきことにこどもが生まれたりするのですから驚きです。

140506さて、こんな話は日本ではなかなか成立しません。というのも、日本の下水道は(よほど古いものを除いて)管構造になっており、ヒトが中で立って歩けるような代物ではないから。

ヨーロッパの下水道というのは雨水も汚水も電気も、そして現在では光ファイバーも通す地下通路です。だからこそ、この映画のような話が生まれるわけ。

たとえば、パリの下水道は実際に逃亡経路に使われることが多いせいか、いろんな小説の舞台になってきました。一番有名なのは「レ・ミゼラブル」でしょうか。ベッケルの「穴」もそうですね。そういえば、パリじゃないけど、最近では小説「ハンガーゲーム3」でも下水道が攻撃用の通路で登場していました(映画ではどうなるのかしらん)。

この映画では下水道が隠れ家になっています。逃亡経路にならなかったのは、どこかで地上に出ても敵に見つかってしまうだけで、どこにも逃げ場がなかったという事情からなのでしょう。

助かるのかどうか見通しが立たない中、逃げ場のない「暗い、汚い、くさい」空間で1年以上も暮らすことができるのか。この映画は実話ですから、「それはできた」ことになります。でも、それには強靱なメンタルが必要です。

気の遠くなるような実話ですが、諦めるな、諦めなければ何かいいことがある、・・・そういうメッセージをこの映画からもらったような気がします。この映画もお薦め。

hmizuki1405