活断層の上の原発

.opinion 3.11

敦賀原発の直下に活断層やそのひび割れがあることが(にわかに!)問題になって、国が日本原電に詳細な調査を要求したため、再稼働が難しくなってきました。また、昨日辺りから青森県にある東北電力東通原発についても活断層問題がわき起こってきました。

でもなんか変。地震が起きたら深刻な事態になると問題にしてきた人たちは今まで何度も断層の問題を指摘してきたのに、全く聞く耳持たずの推進派。なぜ今頃になって断層と原発との関係が騒がれ出したのか?

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考えられる理由はまず、

  •  3.11で原発の安全性について地震の怖さを再認識した

というもの。
3.11も以前と以後で活断層の位置が変わるはずはありませんし、新たな断層が見つかったということでもありません。地震に対して万全であると安全性を謳ってきた国や電力会社が、3.11以降初めて危険性を認識したというのならそれはそれで結構なことですが、あまりにもお粗末。でも、ホンマにそうなのか?

次に考えられるのは、もっと具体的に

  •  老朽化した原発は止めておかないと大変なことになる

と考え始めたということ。

ドイツの動きがまさにこれでした。ドイツは日本の原発事故を他山の石とし、一定の年限を超えた原発の稼働を停止させ、すべての原発の停止を進めることを改めて年限を前倒し決定。原子炉周辺や配管等の設備の老朽化が進めば地震への耐性も弱くなり、当初想定した能力ですら発揮できません。どこまで耐久性を評価するのかは問題ですが、使用年数経過で強度は低下すると考えるのが普通です(日本の原発では普通ではないらしい)。

でも、そんなことは当初からわかっていたはず。メルケル以前に原発停止を法令化していたドイツとは違い、日本では原発推進派が大勢を占めているため積極的な理由とはいいがたい。じゃなぜなんだ?

  •  実は3.11の地震で東電の原発は致命的な被害を受けていた

ということではないのか。

3.11の地震で東電福一原発はなぜ事故に至ったのか。津波で電源が水に浸かったから燃料棒の冷却ができなかったとか、送電線が破壊されたので給電できなかった、だから大事故に繋がった等という当局説明は横に置きましょう。

いつだって都合の悪いモノは隠すのが権力というものですから、利害の異なる専門家によって詳細な調査が完遂されない限り、本当のことを私たちが知ることはありません。私たちにできるのは、個々のデータから辻褄の合う論理的な解釈を導き出すことで、ゴマカシ・マヤカシに対抗することです。

そういう観点でみていると、(詳しい説明は省きますが)津波以前に原子炉の密閉容器や格納容器周りの配管トラブルが起きていたことを推定する十分な根拠があります。この問題はどこの原発でも同じことですから、老朽化問題と合わせて考えるなら非常にヤバイ。敦賀なんかまさにその最たるものでしょう。だったら、活断層でもなんでも理由はいいから、とりあえずあぶないヤツだけでも早めに止めておこう。そんなことではないのでしょうか。今まで危険性を放置してきたのですから撤退にもそれなりの理由が必要、活断層の解釈の違いなら世間体はまだましという配慮があるかもしれません。

3.11の後、国が浜岡原発を止める英断を出した時も変な感じでした。あの時は米軍がどうのこうのと話を茶化しましたが、本当は別の、それも深刻な理由があったのではないか。だって、地震が問題なら止めなければならないのは浜岡だけじゃない。とすると、浜岡だけを止めたのは別の理由があると考えるのがロジカルじゃないですか。あれは「止めなければヤバイ事態が浜岡で進行中」だったのではないでしょうかねぇ。

昨今の活断層話もなんか心配。どうやら、私たちの知らない処でとんでもないモノが姿を現しているのではないか。そんなことを匂わせています。なお、今回の話は私の勝手な読みであり、特別な証拠に基づくものではありません、念のため。