サイバー・クライム

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サイバー・クライムさきほどソニーの株価を見たら、あんら〜の1120円ちょい。売上不振のせいでしょうが、バブル前の株価が3万円超(注)だったことを考えるとなんやねん、コレ!(注:その後の株増のため換算値で半分です、念のため)。やっぱり、あのプレイステーション3事件で国際的信用が零落してしまったことがベースにあるんでしょうかね。そんなサイバークライムについて、日本ではあまりに認識が甘いのでは? 
左の本を読むと、ソニー事件に至る世界の動きや中国ロシア等を拠点にしたサイバー犯罪のあれこれ…、そんな話で満載です。

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サイバー・クライムとはサイバー空間を舞台にした犯罪というのが原意。でも、今回紹介する本の原題は、Fatal System Error。セキュリティの低いインターネットでは、いつ何時致命的な事件が起きても不思議ではないということを著者は警告しているのでしょう。

この本の舞台はコスタリカから始まります。コスタリカといえば、コスタリカ方式という選挙方法のことを思い浮かべる人も多いでしょうが、あれは名前だけパクった日本式の別物(自民・森政権の時)。また、憲法の規定で「軍隊を持たない」平和の国だと知っている人もいることでしょう。でも、コスタリカは非常時の徴兵を規定していることも知らないと話半分です。余談でした。

さて、そのコスタリカ。なぜサイバー・クライムと関係があるのか。ネットにおけるプロスポーツのノミ行為ってご存じですか?日本はもちろん多くの国で違法行為なんですが、中南米やイギリスでは合法になっている処もあります。そこで、そういう合法な国にサーバーを置いて世界中のギャンブラーにサービスを提供しようという会社があり、その本拠地の1つになっているのがコスタリカ。

イカガワシイ商売をしてるとヤヤコシイ連中が近寄ってくるというのが世の相場。先日ヤクザは社会の矛盾に寄生することを紹介しましたが(原発もそう)、まさにあれと同じことで、コスタリカのサーバーは金儲けを横取りしようとする輩や商売仇を攻撃しようという連中からサイバー攻撃をかけられているんだそうです。

本書はその対応をめぐってクラッキング対策を行った人物に焦点を当てサイバークライムに迫っていきます。サイバー犯罪の歴史や手口を物語口調で紹介するので、非常に臨場感があって読みやすい。そして、サイバー犯罪の拠点はロシアと中国のコンピューターだということを実例を通して読者に伝えています。

最後についている著者と訳者の対談もなかなか。イランの原子力施設を誤動作させたウイルス等、おそらくどこかの国の意向を受けたサイバー攻撃や産業スパイ等々、まさに現代的な様相に触れています。

eメールは便利だ、ネットは楽しい、でも一方でセキュリティ対策を怠ると、あなたも国際犯罪組織の手先になっているかもしれません(冗談でなく)。DDoS、ボット、トロイの木馬、ガンブラー・・・、その方面に詳しい人以外には馴染みのない単語でしょうが、あなたのパソコンは大丈夫? 誰かに乗っ取られ、ネット傀儡パソコンになっていないでしょうか。私に云わせれば、ウイルス等のマルウエア(悪意のあるソフトウエア)対策はサイバー空間のエチケット。一度真剣にパソコンの安全対策を考えてみることを強くお薦めします。

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