想定外 その2

.opinion 3.11

今回の津波は想定できなかったのではなく、故意に想定しなかった・無視したという意味であることは先に説明した通り。厄介なことに、地震の大きさが想定外という話そのものに怪しさあり。

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今回の地震、当初発表された震源のマグニチュードは7.9でした。それが8.4と大きく変更され、次に8.8、そして最後に9.0。当初のと比べるとエネルギー的には別格の地震になりました。

なぜ数値が変わったのか。地震計が被害を受け、正確な測定ができなかった。だんだんデータが集まってきたのでより精緻な判断ができるようになったから等という説明に、なるほどなぁと思っていましたが、広瀬隆さんが、

 原発事故が進んだために、「史上最大の地震」にしなければならない人間たちが数値を引き上げたのだと思う。これは四川大地震の時に中国政府のとった態度と同じ 

と書いているのを読んで、そこまで云うかぁと思ったのが率直な第一印象。

でも、この読みは妙に引っかかります。

そういえば、あの人はどう説明しているのかと気になったのが島村英紀さんでした。島村さんは既に私のサイトでも取り上げたことのある地震学者。地震予知はまがいものだとして学会等を批判し続けてきたせいか、意味不明の嫌疑をかけられて有罪にされてしまったのですが(冤罪)、その顛末は御本人のサイト等で確認していただくとして…

島村さんの説明によると、今回のマグニチュード変更は8.4までは「気象庁マグニチュード」で、8.8は「モーメントマグニチュード」。そして最後の9.0も「モーメントマグニチュード」で、フィンランドやオーストラリアでの地震計の記録を参照した結果だったとのこと。地震の測定方法は7つ位あるんだそうです。

もともと世界的に通用していない気象庁のモノサシを国際的なモノサシに変えたらしいのですが、島村さんは、

 すべてのことを「想定外」に持っていこうという企み(あるいは高級な心理作戦)の一環なのではないだろうか 

との喝破しています。ここにも想定外だとマヤカす演出があったのか、と思わざるを得ません。

ついでながら、島村さんの説明によると、宮城県では西暦869年に貞観地震と呼ばれる巨大地震が起こっており、その時の津波は内陸5キロまで入り込んだことが堆積物等からわかっているとのこと。要するに、津波評価については130年前どころか、はるか昔の地震からも過小に放置されてきたことが立証できるようです。想定外の地震とか想定外の津波という表現は、何らかの意図を持ったマヤカシでしかありません。決して騙されませんように。

(予告)想定外 その3 では 想定外との付き合い方、つまりブラックスワンの評価について。