Ballerina バレリーナ

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bob1バレリーナという写真集をご存じですか? バレエのチュチュを羽織った写真家のBOB CAREYさんが各ショットに登場する写真を集めたものです。
イイ年の、それも太り気味な男性がチュチュを着ている様は変態風に見えないこともありません。でも、ページをめくるにつれ、彼がだんだん天使に見えてくるのです。何か不思議。
写真に限らず、思いを載せた作品の凄みとその深さ、あるいは意義について改めて考えさせられます。めちゃくちゃお薦め!

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先日民放テレビでこの写真集を知りました。太り気味の男性写真家がバレエのチュチュを羽織り、
米国のいろんな場所で写真撮影したものですが、それぞれのショットがなかなか面白い。そんなところでよく撮影できたな~的なものから、コミカルに動物といっしょに並んでいたり、広大な景色の一部分と化しているもの等いろいろで、全部見たくなってきました。

すぐに発行元のTutuプロジェクトに注文メール。住所の記載で手間取りましたが、先週末やっと自宅へ到着。早速ページをめくったところ、期待以上。素晴らしい!

bob2

面白いことに、変態風のおじさんがだんだん天使に見えてきました。何か不思議な気分です。どうしてなんでしょう。

実はボブさんの奥様、リンダさんは2003年に進行性の乳ガンが見つかり、現在も治療中という状況なのです。その闘病生活の中で、ご夫妻が気付いたのが笑いの効果。

笑うことで明日が迎えられる、そう確信したボブさん、チュチュを着て写真に収まることで、観た人に笑いを誘うことを意図しています。それはリンダさんのみならず、同じような状況にある人たちにチカラを与えたいと考えたゆえ。その願いがチュチュを着た彼に天使の雰囲気を纏わせたのではないか、そんな気がしてきました。

もちろん、私は天使を見たことはありませんし、神様の姿を知りません。でも、本当に困った時に他人の姿カタチが神様のように感じられるというのは、誰にでも神様や天使の要素があることの表出だろうと考える次第です。蛇足でした。

これら写真を見ていると、写真が記録(ドキュメント)なのか、芸術(アート)なのか等という議論が矮小に感じられてしまいます(個人的にはそういう議論は大好き)。作品が与えるメッセージというか、チカラみたいなものは写真でも音楽でも小説でも境界なんて設けるもんじゃありませんね〜。作り手の思いとそれを受け止める私たちとの感受性の大切さ。改めてそんなことを思う次第です。

写真集の序文を書いているのはAmy Arbusさん。ダイアン・アーバスの娘さんですね。写真集の解説は、ボブさん夫妻のTutuプロジェクトを最初から見守ってきたフェニックス・ニュータイムズのキャサリン・ヴァネシアンさん。どちらもキャリー夫妻への慈しみが滲み出るイイ文章です。

bob0写真集はTutuプロジェクトへ直接注文すれば手に入ります。米国外なら$85(送料込み)。UPSで送られてきますので確実安心。私が注文を入れると当のリンダさんからすぐに返事があり、Paypalには日本語の住所表記しかないので英語表記のを連絡して下さいね、とのこと。日本から注文する場合にはご注意下さい。

それにしても、素晴らしい写真集です。ページをめくれば、誰しもまず笑い、そして何かしらのチカラを貰えることでしょう。ちょ〜お薦めです。