ミミズよ、さらば

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家を建ててミミズと暮らし始めて約8年。生ごみを土に変える、不思議な、そして有意義な生命体であるミミズ。大変お世話になりましたが、個人的な事情からミミズコンポストをやめることにしました。この機会に私が経験した問題点について整理しておくことにします。


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ミミズコンポストの利点と問題点

生ごみを土に変えるコンポストの方法にはいろいろあります。土に混ぜる、地中に埋める、あるいはもっと積極的な微生物分解を狙って行う方法もよく使われています。嫌気性での分解を目論むEM法や、ミミズコンポストはそれらのひとつですし、電気仕掛けの生ごみ処理機のような機械も広く見かけるようになりました。
拙宅ではミミズコンポストだけでなく、木箱や木桶を使ったコンポストもいっしょに活用してきました。一戸建ての前の公団住宅暮らしの時から既に木桶コンポストを行っていたので、生ごみコンポストはかれこれ10年以上の実践になります。今回ミミズ使いをやめることにした理由を説明する前に、まずミミズコンポストの良い点から列記してみましょう。

優れた点としては、

・ミミズという生き物を使う愉しさ
・気温の高低でミミズの調子が変わってくる
・水分を上手くコントロールできればニオイは出てこない
・電気や機械エネルギーを要しない
・そのまま土づくりをするので、土の安定化、馴致の手間がいらない

等があります。一方、上記利点の逆がそのまま問題点になります。

・生き物を使う難しさがあり、面倒見は思ったより簡単ではない
・温度が高いと死滅するし、低いと活動が停止する
・水分コントロールを失敗するとダニやウジ、アブの幼虫がわきやすくなる
・分解にはそれ相当の時間がかかる
・土の取り出しはそれなりに手間がかかる

とりあえず、こんなところでしょうか。問題点といっても、手間の大小や面倒さの感じ方は使う人次第ですから、いろんな意見があると思われます。具体的には私にとってどうなのかという点でした。

拙宅での問題

99年に始めたミミズコンポスト。生き物であるミミズを使い、生ごみをそのまま土に変えてくれる、これは他のコンポストにはない大きな利点です。当初、これだけで満足していましたし、他人にもそう説明してきましたが、年を追う毎に厄介な面と向き合うことになりました。

まず、日々の水分管理。梅雨の季節はそれだけでも湿気が高くなります。さらに、コンポスト容器内では生ごみからの水分で余計に湿度が上昇します。すると、ダニが異様に発生し、ごみ入れの時に手袋をしないと咬まれてしまい、ひどい痒みの原因となりました。場合によっては半日以上の痒みとなり、アトピー気味で肌が敏感な私には耐えられません。乾燥した土を混ぜたり、新聞紙を余計に入れたりして湿度を上げないように工夫すればよいのかもしれませんが、これがなかなか難しく、私には上手くできませんでした。

また、何とかアブの幼虫、いわば大きめのウジ虫が時々わいてくるのにもほとほと参りました。ミミズと競合するらしいので、最初は1つ1つ取り出していましたが埒があきません。放置しておくとアブの成虫になってしまいますし、これがまた卵を産み付けてしまいます。このウジは木桶コンポストにも発生しますが、こちらは石灰をまいたりしてなんとか駆除できましたが、ミミズに石灰は禁忌。1つ1つ除去するか、ウジが発生しないように気をつけるしか方法がないのです。

旅行か何かで1週間も留守にするとさらに面倒なことになってしまいます。ダニやアブのウジは云わずもがな、充分なエサがあるからでしょうか、ミミズ容器にゴキブリまで棲み着いてしまうのです。こうなるともう手に負えません。一からやり直し。私の管理が悪いせいで、ミミズの総入れ替えを行ったこともあります。初めの頃は利点もあるし、こちらの勉強だと思ってきましたが、今年の暑さのせいもあったのか、先月沖縄旅行から戻ってきてゴキブリの住処と化したミミズ容器を見て、さすがに我慢の限界。このままでは不潔な容器を温存するだけ。そんなこんなで、ミミズコンポストを諦めることにしたのです。

木桶コンポスト

でも、ミミズコンポストをやめるからといって、生ごみコンポストをやめるわけではありません。今までの経験から、ミミズコンポストよりもも簡単な、あるいは楽な生ごみコンポストの方法があることがわかっています。拙宅ではミミズと平行して木桶コンポストを続けてきましたが、こちらは上手く回っています。つまり、こちらをメインにしていこうというわけです。

木桶コンポストは既に紹介していますが、水分透過性のある木桶や木箱に生ごみと土を混ぜ入れ、水分減少と微生物分解を狙うことで生ごみを処理していこうというものです。EM法とは違って好気性微生物を使いますのでニオイは比較的少なくすることができます。ただ、2ヶ月程度の熟成で得られた土は発酵の程度や成分バランス等のため、そのまま畑に戻すことができません。拙宅では地面に空けた後もさらに数ヶ月放置しています。これがずっと回っているため、毎月ある程度の土ができあがるということになりますから、コンポストに数ヶ月かかるといっても大きなマイナス要因にはなりません。

最後に。

ミミズを飼うのが主なのか、それとも生ごみコンポストがメインなのか。私にしてみれば、当然後者ですから、ミミズコンポストに拘泥することもないのですが、やはり残念な気がしないでもありません。もう少し湿気のない環境だったらミミズ育てもうまくいったかもしれませんし、こちらの手間を惜しまずにお付き合いしていれば、諦めるに至らなかったかもしれません。ミミズコンポストを実践中の方々やこれから挑戦しようという方々の思いに水を差そうというわけではありませんので、誤解なきようによろしくお願いします。

(追記)といいつつ、復活の日を迎えたのでありました。>帰ってきたミミちゃんズ(ミミズ)


ミミズが作り出した土(ミミズの糞)