約2%のプールに死の危険あり!

プール事故

共同通信のインターネット版(05/04/21)によると、「全国の国公立の小中高と高専、養護学校など約三万校のプールのうち、五百八十九校で排水口のふたが固定されておらず、児童や生徒が腕や足を吸い込まれておぼれる恐れがあることが二十日、日本体育施設協会(東京)の調査で分かった」とのこと。いまだに危険なプールがたくさんある状況に唖然とします。…


私が『あぶないプール』でこの問題を指摘したのは、1997年のこと。毎年のように学校プールにおいて悲惨な排水口事故や飛び込みスタート事故が繰り返されているにもかかわらず、全国的な事故統計もなければ、有効な対策もとられていない、学校関係者の認識もきわめて低い、そんな状況に怒りを感じたのが執筆の動機でした。

10年前1995年の旧・文部省の調査では11500校(約三分の一)が未対策でした。その翌年の1996年に死亡被害者の親たちが旧・文部省に改善の申し入れを行ったこともあり、学校プールの改善はいっきに進んだはずだったのですが、まだ2%のプールで危険性が放置されたままとは、学校関係者の危機意識の低さと無責任さに呆れてしまいます。

排水口対策は難しい話ではありません。排水口を点検し、開いたままならフタをボルトで固定するなどで容易に開かないようにすること。これだけです。費用もたいしてかかりません。たったこれだけをしない学校のせいで、尊い人命が損なわれてきました。死んだ者とその家族はやりきれませんし、いっしょに泳いでいたこどもたちに及ぼす心理的外傷についても深刻です。

今回の調査で問題にされた589校(2.0%)の内訳を都道府県別にみると、大阪府(67校)、兵庫県(46校)、福岡県(32校)等とのことですが、この3つを足しても145校しかないので、全国的にみてまだまだ「死の危険性と隣り合わせの学校プールがいたるところにある」と考えておく方がいいでしょう。いったいいつになったら、学校関係者は遊泳者の安全性を考えてくれるのでしょうか。

排水口に吸い込まれると死ぬ危険性があり、実際そのような事故が繰り返されてきた、でも自分の学校では大丈夫、起こるはずがない、だから排水口の危険性を放置してきた、・・・これでもし死亡事故が起きたら、その責任はいったいどこにあるのか?この3つの要件が揃っていたら、殺人ではないでしょうか。

最後に、このプール調査報告に関する報道があったことを私に伝えて下さった複数の方々に感謝いたします。また、各地での排水口未対策状況についての報道記事などをお持ちの方は是非私にお伝え下さいませんでしょうか。このサイトで紹介します。よろしく。