尋常一様窓前月
2012/05/23
数寄や風流がお好みの方、お待たせしました。今回は禅句の話。
泊まった旅館の床の間に色紙が1枚。掛け軸でもないのにえらく風流な佇まい。読みにくい漢字の行列には「尋常一様窓 前月…」で、最後に「禅句 魯山人」。帰宅後調べてみると、南宋の有名な句に「…尋常一様窓前月…」というのがあるのを知りました。魯山人さん、改行位置が違うよ(苦笑)。
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禅の教えや漢詩を解説するサイトは実に多く、ググってみたら結構たくさん出てきました。その中の1つによると、南宋の杜秉という詩人の句に「寒夜」というのがあるそうです。
寒夜客来茶当酒 寒夜客来たりて 茶を酒に当つ
竹爐湯沸火初紅 竹爐 湯は沸きて 火初めて紅なり
尋常一様窓前月 尋常一様 窓前の月
纔有梅花便不同 纔わずかに梅花有りて便すなはち同じからず出典はこちら
3行目4行目が先の魯山人の色紙にあるものですが、魯山人さん、なぜか改行位置をいじって、
「尋常一様窓 前月纔有梅 花便不同」としているので余計に読みにくい。
七字二行は書きにくかったのか、それとも故意にばらばらにして、一見漢句であることを隠そうとしたのか。最後に「禅句」とついているのは、私のように学がない者へのヒントなのか、それとも少し遊び過ぎたことのお詫びなのか。
学がないと、同じものを見ても何のことだかチンプンカンプン。そんな毎日の繰り返し。だからといって、学ばかりに執着しても現実知らずでは面白みに欠けます。ちょうどいい案配が要るんでしょうが、この年になっても知らないこと多かりしで、時々苦笑。まぁそれが愉しいといえばそうなのですが…。
それにしても、魯山人の実物!の前で旬で美味な食事三昧というのはなかなかおつなもの。場所は山代温泉「あらや滔々庵」、ここ最近の一押し、お気に入りです。