♪ どんなときも どんなときも 利益確保の電力会社

.opinion 3.11

一昨日TVで経済評論家の荻原博子さんが「東電はいつだって3%上乗せてしているんだから…」(概意)と値上げ案を批判していました。よく言った! 正確にいえば少し面倒な話になるんだけど、まぁ本筋はそんなもんです。(左は荻原さんの写真、クリックすれば公式HPへジャンプ)

それにしても、電気料金の構造的問題を放置したまま値上げに踏み切った東電と、それを支える政治家と御用メディア。値上げも原発推進・再稼働と同じで、原子力マフィアのチームプレイですな。

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電気料金とはどういうふうに決まるのか。
電気事業法によると、発電から給電の販売までのすべてのコストに事業報酬を加えたものを総括原価をいい、これと料金収入とが見合うように決めましょう、ということになっています。

総括原価は、電気事業固定資産の減価償却費、営業費、諸税と事業報酬という4つの項目に分けられます。漢字ばっかりでアタマが痛くなったアナタ、正常です。私もそうです。

ところで先日、枝野某が電気料金の算出に広告費を入れるな等と格好良いことを云っていましたが、その後どうなったんでしょうか。朝令暮改な彼のことですから、最初に言うだけだったんでしょうか。その広告費は営業費の中に入っています。

また、東大などにお金を出して冠口座を作ったり、御用学者を飼い慣らすお金も営業費の中の研究費。官僚や裁判官、検事の天下り対応費用とか、ヤクザへの貢ぎも営業費の内です。脱原発な民としては、そんなものまで電気料金に組み込むなって声を大にして云いたいね。だいいち、広告費以下非常識な経費を削れば数百億円は簡単に出てくるんじゃないですか?

問題なのは4番目の事業報酬。これは、電気事業者の「真実かつ有効な事業資産」(レートベース)に一定の報酬率を乗じることで算出されます。その資産とはなんぞやというと、電気事業固定資産、建設中の資産、核燃料、繰延資産、運転資本、特定投資の6つ。ほら、だんだんキナ臭くなってきたでしょ?  だって、電力会社は決して損しないことを法律で決めているなんて、それでホンマに民間会社なのか。おまけに核燃料たくさん持っていると電気料金がアップできるなんて異様だなぁ。

事業報酬の報酬率がレートベースになったのは1960年以降とのことですが、当初8%だったのが今は3%程度。自己資本と他人資本とに分けてそれぞれ掛け率があり、その合算が報酬率となっています。金利の換算値みたいなものですから、今のようにゼロ金利なら3%でも高いのではないでしょうか。

事業報酬率(%)の推移
1960年  8.0
1988年改定  7.2
1996年改定   5.3
1998年改定   4.4
2000年改定   3.8 関西は3.7
2002年改定   3.4 東北・東京・北陸は3.5
2004/2005年改定   3.2 北陸は3.3
2008年改定    3.0 中部は3.2 北陸は3.3

(出典は熊本一規「脱原発の経済学」)

さて、この総括原価方式による電気料金が現代において妥当なのかどうか。とくに東電のように税金投入しておいて使い放題の浪費構造はそのままだったら、血税の価値がありません。

原発絡みでいえば、一時的にしろ、このまま料金改定を進めることは原発推進と同じこと。この料金構造が現在の原発推進を支える経済的な根幹になっているのですから、そこにメスを入れない限り、原発事業は止められません。

しかしながら、既得利権にズッポリの政界学界そしてメディアは、そういう本質的な問題は知らない振り。昨今、第三者委員会で電気料金を検討するなんてのがありましたが、ほとんど茶番なのはそういうわけ。

電力事業の改革は送発分離だけではありません。せめて庶民としては値上げ分だけでも使用量を減らすなりして、反原発・脱原発の意思表示にしたいと思うこの頃です。