あなたの家も発電所!?

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モノゴトには表があれば裏もある。プラスがあればマイナスもある。そういう発想の転換で、あなたの家を発電所にすることができます。それは…

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発電ってどういうことでしょうか。石油や石炭を燃やしてタービンを回転させ、電気を作り出すってこと? 風の力でタービンを回して電気を作ること? それとも、屋根の上にソーラーパネルを置いて電気を作り出すこと? それらはたしかに発電ですけど、発想を逆転させてみましょう。

どういうことかといえば、マイナスの電気を作り出すことを発電として勘定してみようということ。勘の良い人ならお察しの通りで、一般的な表現で云うところの節電です。ただ、節電というと必要なものを我慢して減らすという後ろ向きのイメージが付きまといます。でも、ここでいうマイナス発電は前向きの考え方。

なぜなら、あなたが減らした電気は電力系統の中では別の家庭等でそのまま使えるからです。電気に色はついていませんので、使う立場から見ればマイナス発電分も商用電力と全く同じ。つまり、マイナス発電は通常の電気と同等の価値を生み出すというわけです。マイナスがプラスにひっくり返るなんて、まるで手品みたいでしょ?

要するに、マイナス発電とは電気使用量を減らすことであり、具体的にいうと、

  • 必要のない機器を使わない・使用時間を減らす(オンオフ付コンセント採用や待機電力カット等)
  • 使用電力の大きな機器はガスなどの他の熱源に切り替える(炊飯器や給湯器など)
  • 電球を省エネタイプにして使用電力を押さえる(LEDライトの採用)(注1)
  • 電気使用量の大きな機器を買い替える時には省エネ型のものを選ぶ(今すぐ新品に代えるのは廃棄物を増やすだけで資源の浪費になるかもしれませんので要注意)。
  • その他いろいろ(拙宅のようにエアコンなしという手もある)

手間がかからず、かつマイナス発電の効果大なのはLEDライトの採用でしょうか。白熱灯の100W電球と同等なLEDライトの使用電力は約10分の1程度なので、8箇所6時間の使用状況で1日当たり4.3kWhのマイナス発電、月でみると130kWhにもなります(蛍光灯なら30kWh程度のマイナス発電)。難点はLEDライトへの切替に初期コストがかかること。でも、10年前に比べると価格は下がっています。ちなみに、LEDライトには電球色と昼白色があり、電球色の方が暖かみのある色なので好みだという人も多いかもしれません。

ちょっと算盤をはじいてみましょう。月に130kWhを発電するようなソーラー発電システムを作るとすると、だいたい100万円程度かかります(拙宅が導入した12年前なら150万円くらい)。一方、LEDライトで100W電球の明るさを持つ最新型は1個6000円くらいですから、8箇所で5万円弱。普通の電球に比べるとかなり高いのですが、ソーラー発電コストに比べると20分の1、圧倒的に安上がりです(注2)。おまけに夜間にはソーラー発電はできませんので、その間はLEDライトというマイナス発電の独壇場。耐用年数も10数年以上ありそうですし、メンテコストはかかりません。

ということで、LEDライトの導入コストをマイナス発電所の設備費だと考えればどうでしょう? 減らすのではなく作り出すのだという発想転換で考えてみて下さい。節電ではなくマイナス発電と最初に強調したのはまさにこの点を云いたかったからです。

原発の恐怖でビクビクしながら生活するオソロシサや、原発必要論の脅しをはね飛ばすことを考慮するなら、LEDライトの導入などのマイナス発電コストはバカ高いわけではないと私は考えます。そもそも、原発交付金などに税金を使わず国が庶民に還元すれば簡単に実現できる話ではないかと思いますが、どうでしょう?

考え方や発想をちょっと変えるだけで世の中の景色が変わります。もし納得できそうなら、是非マイナス発電所にチェレンジしてみて下さい。

と書いていて、今日週刊金曜日845号が到着。その中に飯田哲也さんの「「節電発電所」で今年の夏も来年の夏も乗り切れる」という記事がありました。この節電発電所というのは私のいうマイナス発電所と同じ意味ですし、家庭だけでなく工場や事業所についても契約方法の変更などで節電する方法が解説されています。詳細な議論が必要な方は是非ご参照下さい。

(注1)蛍光灯を私は薦めません。廃棄物になる時、管内の水銀等による環境汚染が問題になるから。知らなかった人はこの機会にチェックしてみて下さい。
(注2)蛍光灯からLEDライトに変える場合のマイナス発電量を30kWhとすると、相当するソーラー発電の初期コストは23万円程度。この場合、LEDライト導入コストは、ソーラー発電コストの4分の1以下になります。