ドンナドンナ あるいはドナドナ

.Books&DVD… .opinion

ポップミュージックで社会科 (理想の教室)ジョーン・バエズといえば、私自身いろいろ思い出すこと多々。まずは、ドナドナ。

・・・・・・

NHKみんなの歌では牧歌的な感じで歌われていました。♪ ある晴れた、昼下がり、… ♪ で始まり、軽い漫画タッチの絵がついているのですが、内容は凄まじい。だって、と畜場に売られていく牛の話なんですから。子どもの頃、なんかいや〜な感じがありましたが、その正体はわからず。

高校生の時ジョーン・バエズで聴いて、ああ、これは童謡なんかじゃない、なんか大事なことを伝えようとしているのかなぁと察知。でも、それ以上詳しくは調べようとはしませんでした。

Joan Baez 1それを明快に解き明かしてくれたのは細身和之さんの「ポップミュージックで社会科」。

この本によると、作者はユダヤ人、東ヨーロッパにおける民族虐待(ポグロム)の記憶が込められているとのこと。その後ホロコースト、ショアーに話が重ねられ、この歌が広く伝わっていったようです。あぁ、やはり深い意味があったんですね~。ユダヤ人を可哀想な牛に例えた歌だったんですね。ほとんど40年来の疑問が氷解。

細身さんの本には、ドナドナのヒット等でジョーン・バエズが来日した時、CIAが通訳に圧力をかけていたことを紹介しながら、当時のベトナム戦争に対する反戦運動に米国が懸念を示していたことも記しています。

また、中島みゆきの「地上の星」(紅白のため黒部ダム内で唄った、あの歌ですよ)に登場する燕と、ドナドナに登場する燕との共通性についても言及。う〜〜〜ん、そういう見方もあったのかと感心しながら、これは当たっているかもしれんなぁと思う次第。ご興味の方は是非細身さんの本を読んでみて下さい。

(付記)バエズの「ドンナドンナ」、昔の歌で使っていたギターのアルペジオがまるで牛車の車がゴトゴトいくような感じでした。先に挙げたYouTubeのリンク先にある歌は昔のギターの雰囲気通りです。