真打ち デフレの日本で上がってきたモノ・・・その2

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このデフレ下の日本で上がってきたモノの例として、前回は漫画雑誌と国立大学授業料を取り上げました。でも、もっと問題の根が深い真打ちがあります。所得が伸びないデフレ下でも着実にその額を伸ばしてきたモノをご存じでしょうか。それは税金と社会保障負担金です。

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所得があれば所得税、モノを買えば消費税、相続があれば相続税、これらに加えて地方税や固定資産税など、税金には山ほど種類があります。社会保険などの社会保障負担金まで含めると、国民負担率は約45%。つまり所得のほぼ半分が税金+社会保障負担金となり、五公五民に近いと云えます。江戸時代なら一揆が起きてもおかしくない税率なのに、なぜか国民は大人しい、と先日書いた通り

実態を見てみましょう。

所得税・法人税の減少分を補って騰がってきた消費税。(出典は財務省)

2024年(令和6年)の税収は国の一般会計分で約73兆円。30年前には51兆円だった税収が4割増し。また地方税は30年前には32兆円だったのが現在は約45兆円。こちらも4割増し。

国税の推移をみると、デフレで所得が伸びず所得税も法人税も30年前と比べて減少しましたが、15年前からじわじわと上がってきました。加えて増税された消費税によって税収が伸び、全体としてはバブル後の失われた30年、35年でも着実に国税は上がってきたことがわかります。

地方税は一部国税からの委譲もありましたが、それ以上に伸びてきたことが一目瞭然。つまり、国税、地方税どちらも国民の所得が伸びない中で確実に税収を増やしてきた、つまり国民の実質的な手取りは減ってきた(収奪されてきた)ということです。

地方税もどんどん上がってきた(出典は総務省)

また社会保険などの社会保障負担金もこの30年で4割増し

払う税金が増えた分だけサービスが充実したのなら納得もできますが、どうでしょうか。必要のない無駄な事業や仲介会社に手数料をたくさん取られてしまうようなお役所仕事にお金が廻っているとしたら、いくらあっても足りません。その結果、国民がより貧しくなっていることをうすうす感じている人は多いはず。

それが問題にならないのはなぜか。まず、税収を伸ばしてきた財務省、厳しい社会保障負担を強いる厚労省に忖度して新聞テレビが事実関係をきちんと伝えないことが大きい。財務省や厚労省に対して批判的な論者を国がゴシップまがいで潰してきたと訴える人もいるくらいです(私もそう思う)。

でも一番問題なのは、国民が反対しないこと。税制や社会保障制度を変えるなら国や地方の議会をまず変えなければなりませんが、選挙があっても従来路線を踏襲したり選挙時だけ良い格好をする政党に票を入れてしまえば変わるはずもなし。おまけに野党でも立憲民主党のように消費税アップに道筋をつけた野田某が党首に帰り咲くようでは票が集まるはずはありません(それがわからないほど立民はオワコンなのか)。結局、何やかんや云っても国民は税金増に納得していて文句なしと国は考えています。

税金も社会保障負担金も今後のインフレで尚更騰がることでしょう。どこかの時点で税制や社会保障制度を根本的に改めないと20年先30年先はどうなることやら。民主主義を装った社会主義国家的様相を今以上に強めていくのではないでしょうか。ジャニーズ性犯罪やフジの性接待なんかで世間が騒いでいるのも本丸隠しかと思う今日この頃です。