iPhoneで3Dスキャン その3 スミソニアン

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数日前、建仁寺(京都)で開催されている「スミソニアン国立アジア美術館の名宝」展へ。展示されているのはキャノンの大判プリンターで出力されたものに金箔などをあしらって完成させた高精細複製品、要するにフェイクコピー。でも、建仁寺の建物内に展示されているのを目の前にすると全く本物のようです。そのスミソニアン、所蔵物を3Dスキャンして積極的に公開しているのを本を読んで知りました。

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現在建仁寺で開催されているのは、米国・スミソニアン国立アジア美術館の開館100周年イベントと連動した特別展で、「今回展示する19作品は、同美術館が所蔵し、門外不出とされている日本美術の高精細複製品」とのこと。

日本では観ることができないものが、まるで本物のように存在するのがまず驚き。「ギャラリーフェイク」の世界ですな。おまけに建仁寺は禅寺でお庭も美しくスタイリッシュ。建仁寺の国宝「風神雷神図屏風」(俵屋宗達)や重要文化財の襖絵50枚はそれぞれその高精細複製品が建物内に実際に設置されて公開されており、趣きのある環境となっています。このような環境の中に置かれているので、スミソニアンの屏風絵の作品性がより高まっています。行ける人は是非。

そのスミソニアン、先に紹介した鳥海幸一さんの「フォトグラメトリの教科書」の中に「展示物の3DCGモデルのアーカイブを公開しています」との記載があったので、早速訪れてみました。アポロ11号あり、恐竜骨格あり、歴史的に有名なブツを3Dスキャンし、3次元デジタイゼーション(3D digitization)と称して紹介されています。

ざっと見た限り、今回の建仁寺の展示に直接関係するような作品は見つかりませんでしたが、オープンソースのSketchfabの中にスミソニアン所蔵作品から3Dデジタイゼーションした屏風絵を1つ発見。

それが、「Waves at Matsushima by Tawaraya Sotatsu 俵屋宗達」です。ブラウザ上でグリグリ、屏風の表裏を観ることができます。屏風絵を3Dモデルに載せてから折り、それを改めて3Dスキャンしたみたいですね〜。この方法なら日本にある屏風絵はみんな3Dにできるんじゃないでしょうか(問題は著作権!)。

ここ一週間、3Dスキャンで驚きの連続。友人知人のアーティストにこんなんiPhoneでできるゾと伝えたら、みんな興味津々でトライしている模様。科学や技術はどんどん進化していきます。今を未来に残すためにも3Dスキャンは必須のテクニックだと感じた次第です。日本の美術館や博物館もこんな風にやって欲しいものです。