ファジル・サイ

.Travel & Taste music

驚きました。ピアノ内部の弦をハープのようにシャリ~ン シャリ~ンとつま弾いた初っ端からびっくり。曲の途中では内部の弦を打楽器のように扱う演奏もあり、驚くこと多し。演奏者はファジル・サイさん。場所は河口湖畔、ステラシアター。9月15日から4日間催された河口湖ピアノフェスティバルでの一コマ。歌うような、ある時は語るような情緒豊かな氏の演奏にいつのまにか引き込まれてしまった午後でした。

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不勉強ながらファジル・サイさんというピアニストはそれまで全く知りませんでした。ネットで引くと「鬼才・天才・異才」などと半ばキワモノ扱いをされているようですが、その理由は演奏を聴いて判明。要するに、彼は従来のクラシックスタイルの弾き方だけでなく、ジャズピアノ風な編曲や内部奏法を駆使した新しいスタイルの作曲家&演奏家でもあるからです。

なぜ河口湖のピアノフェスにファジル・サイさんがやってきたかというと、フェスの中心の辻井伸行さんが彼を招聘したから。辻井さんは中学生の時にファジルさんのコンサートでブラック・アースを聴いて、変わった内部奏法にとても衝撃を受けたのを覚えている、楽屋で挨拶してピアノを弾かせてもらったのが出会いだそうな。およそ20年前の話ですが、サイさんをフェスに呼ぶ時が来るとは彼も予想していなかったとのこと。

まるで歌うように、あるいは囁くように極小なタッチで優しく、時には嵐のごとく大きな音で弾くサイさんの演奏は圧巻。5mくらいの距離のアリーナ席で聴いたこともあり、サイさんの息遣いと音圧まで届くような感じ。

口ずさみながら囁くような弾き方はグールドが生きていたらこんな感じかなぁ~等と思っていたら、直前の大阪公演ではゴルトベルク変奏曲をやったらしい(なるほど)。

サイさんは予定プログラムにサイさんのオリジナル曲、辻井さんが中学生の時に驚いたというBlack Earthを追加。圧巻の演奏で、こちらは思わずスタンディングオベーション! 全く予想外の素晴らしさに感激しました。

いや~、それにしても驚きました。いろんなピアノの弾き方があるもんですね。AppleMusicをチェックするとバッハ、ベートーベン、・・・などのオーソドックスなクラシック曲に並んで、サイさんのオリジナル曲もラインナップされていて先日来拙宅のBGMになっている次第です。