厳冬のウクライナ支援

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今年の最大ニュースはロシアのウクライナ侵攻でした。いまだに戦争という用語を使わないロシアとそれに忖度する国連機関の不甲斐なさ、ユニセフもその1つです。
2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始してから、すでに10ヵ月以上。秋からはウクライナ各地の発電所などへのロシアの攻撃が激化し、各地で停電が長期化し生活インフラが破壊されて、ウクライナの人々の生活は厳冬の中で厳しさを増しています。ウクライナ支援を行っている団体については5月13日にもご紹介しましたが、7ヵ月以上が経ったのでその後をご紹介します。

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ウクライナ支援を行っている団体として前回ご紹介したASAGAO有限会社は、日本人女性2人がポーランドと日本の橋渡しのために設立した会社です。2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始し、ウクライナの人々が続々と隣国ポーランドへ避難してきたため、ASAGAO社は3月からウクライナへの支援活動を開始。具体的には、日本で集めた寄附金をポーランドへ送金し、ウクライナの人々から要望された品々をポーランドで購入してウクライナへ直接送るという支援です。

同社のHPにはボランティア活動の記録写真だけでなく、ポーランドで購入してウクライナへ送った品々の領収証が全て公開されており、誰でも閲覧できます。また、日本で集めた寄附金の日付や金額も公開されていて閲覧可能です。

ASAGAO社のHPによると、3月以降の寄附金額は12月27日時点で総額3340万円余り(110.2万ゾロチ弱)、ウクライナの人々のために購入した物品の総額は12月19日時点で106.8万ゾロチ弱(約3237万円)、医療関係の物品が65.9%と最多でした(図参照)。残額は3.4万ゾロチ(約103万円)。

気になるのはASAGAO社への寄附金額が先細りなこと。ロシアのウクライナ侵攻について日本での報道が多かった3月〜4月には寄附金が多かったのですが、5月以降はかなり減少。現時点での残額103万円は半月分の支援にも満たない額になっています。

今年10月以降、ロシアはウクライナ各地の発電所などのインフラ設備を1000発以上のミサイルで攻撃していると報道されています。このインフラ攻撃によってウクライナの各地で大規模な停電となり、復旧も困難な状況とのこと。厳冬を乗り切るためには食料・暖房・電気・水などが必要です。ASAGAO社のように誠実な支援活動を行っている団体が充分な寄附金を得て支援活動を継続できることを期待して、私は2回目の寄附を行いました。

【図】ASAGAO有限会社HPより転載(ウクライナ救援物資寄附金)2022年12月転載

5月13日の本HPで紹介した、もう1つの団体の社会福祉法人福田会(ふくでんかい)。福田会のHPによると、12月27日時点でのウクライナ支援寄附金は総額で1億1592万円余。日本からポーランドへの送金は3月から11月の間に5回に分けて行われ、送金額は合計1億円。ポーランド国内に避難してきたウクライナの人々の食料や生活物資に使用された総額は12月29日時点で送金額の94%、約9400万円とのこと。ちなみに、福田会はポーランド支部機能を2019年から前述のASAGAO有限会社に委託しています。

ところで、「ウクライナ支援」のための寄附金を集めている団体はいろいろあります。でも、寄附する前に注意してほしいのは「ロシアがウクライナに侵攻した」という事実をきちんと表明して寄附金を募っているのかどうか。たとえば、ユニセフ(日本ユニセフ協会)や国連UNHCR協会なども寄附金を集めていますが、「ロシア」の「ロ」の字も「侵攻」「侵略」の「し」の字も書かずに寄附金を集めていることに、疑問を感じます。寄附金をいつどのような形で使ったのか具体的に公開することもしていません。これも変。オープンにしたら困ることがあるのでは・・・との疑念も湧いてきます。

歳末助け合い募金が本当に支援が必要な人たちには僅かしか届かない、というのはよく知られた話ですが、寄附金や募金のコミッションで組織運営している団体がいかに多いことか(要注意)。もしあなたがウクライナの人々のために寄附をするのであれば、その団体がどのような思いでウクライナ支援の寄附金を集めているのか、調べてみることを是非お勧めします。