もの忘れ その2 映画

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年明けに最寄りの劇場で映画鑑賞。その映画館、前回同様、今回もガラガラ。人の入りが良くないのか、3月で閉館とのこと(残念)。ネット映画がトレンドな今どき、映画館で観るのはオワコン世代なのでしょうか。年といえば困ったことに、前回その映画館に行ったことは覚えていても観た映画が思い出せません。記憶をブロックしているのははたして年のせいなのか、それとも?

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今年の年明け3日に『マトリックス レザレクションズ』を観ました。20年位前に話題になった映画の四作目。マトリックス世界とは現代の皮肉ですが、私は好きな映画でした。主役もキアヌ・リーブスにキャリー=アン・モスで前作通り。この20年間に監督が性転換してしまったのも今風といえば今風です。

『マトリックス レザレクションズ』のResuurrectionsとは「復活、甦り」で、前回三部作との繋がりが気になりますが、いろんな説明や理由をつけて連続性を保っていたのはマトリックスファンとしてはまぁ及第点。でも、過去作に拘りがない連れ合いに云わせると、「がっくし」とのこと、そうかもしれません(苦笑)。

さて、今回の問題はこの映画の内容ではありません。映画を観た後、前回訪れた時の映画は何だった?と問うと夫婦ともどもすぐに思い出せません。タイトルおろか、出演者もはっきりせず、鑑賞時期も曖昧。何じゃこれ?

幸い帰宅してメモなどをチェックすると、訪れたのは11月末、タイトルは『モーリタニアン』でした。ほんのⅠヶ月ちょい前なのに記憶が消えてしまったのは何故か。2人とも年のせいにはしたくないのであれこれ考えてみました(笑)。

『モーリタニアン』は9.11事件の後、米国が無罪の人まで検挙し、キューバのグアンタナモ刑務所で非合法な取り調べを行っていた話に関する話。

映画の最初に出てくる「これは真実の物語だ(True Story)というフレーズが重く、当然ながら登場人物はすべて実在。ジョディ・フォスターさんの口紅が紅すぎると思っていたら、最後のタイトルバックに映る実在の弁護士さんにそっくり。

映画の話は専門サイトを参照していただくとして、内容が重い。米軍が大統領令や世間の声に過剰反応し、前もって作り上げたストーリーに合致すべく自白を脅しスカシ時には暴力を使って強要していく様を見るのが辛くなりました。でも、最後で・・・なので救いがあるというべきところでしょうか。

9.11の後、米国はアフガンへ侵攻するだけでなく、イラクにも大量破壊兵器があるという名目で多国籍軍の名目で攻撃しました。後日大量破壊兵器の存在はデタラメだったことが判明しても、その捏ち上げで各国首脳連中は罪を問われたでしょうか(小泉某がいくら脱原発を唱えても信用できない理由はここ)。権力とはそういう醜悪なものだと云ってしまえばオシマイですが、冤罪をかけられた国や人々の尊厳はどう回復したらいいのか。

残念なことに当映画の上映は早々に打ち切られ、世間は事実の存在を忘却の彼方へ追いやってしまいたいようで、それもまた暗澹たる気分。知りたくもない事実に真摯に向かい合うのが辛いので、こちらも観た記憶を定着させなかったのだとしたら、私も捏ち上げの同列か。

ということで、もの忘れは単に脳細胞の劣化だけでなく、メンタルなブロック効果もありそうだということでした(イヤだな)。