江之浦に測候所

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先週は江之浦測候所へ。江之浦測候所は杉本博司さんのアートやコレクションを公開展示するために建造された場所。測候所とは気象を観測する所のことですが、なぜ名称が美術館ではなく測候所なのか。その答は行ってみて了解しました。

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今夏直島を訪れた話は既に触れた通り。その時、護王神社(ガラスの神社)を案内して下さったガイドさん曰く、もっと凄いのがあるんです、とのこと。聞けば、江之浦測候所というのがあるらしい。休みが取れたらガイド氏も夫婦で出かけたいとのことでした。

何処だと調べると、神奈川県小田原南側の根府川近く。どんなものなのか興味津々だったので訪問することにしたのが8月。せっかく遠くへ行くのだから近くに宿を取ろうと考え、熱海辺りの旅館やホテルを物色。立派なものは多々あれど、ちょうど洪水で伊豆山上流が山崩れを起こした直後でもあり、もう1つ気が乗りません。

マップを睨んでいると、測候所の真横に新しいホテルがあるのに気づきました。それが今回泊まった「江之浦リトリート凛門」。今年6月開業の新しい宿ですが、コンセプトが面白く、お部屋も食事も特筆モノ。私たち夫婦が予約したのは8月でしたが、10月にTVの「旅サラダ」で紹介されたらしく、人気急上昇中です。それはさておき、宿は確保できたのでいそいそと江之浦へ。

さて、なぜここが測候所なのか。杉本さんの代表作は世界中の水平線の写真、それに光と空間の時間遷移を対象にしたモノ。その延長線上が江之浦で、彼が護王神社等で取り組んだ光のアートをさらに進めたものと云えばいいのでしょうか。どうやら光と自作の変化を測るという意味らしい。

一方で、ここはアート展示というより大昔のストーンヘンジみたいなものにも見えるので、杉本作品を知らない人からすれば「なんやこれ?」で、肩すかしかもしれません。

でも昨年の京セラ美術館、細見美術館そして今夏の直島と杉本作品を観てきた私からすると、江之浦で杉本さんが展開しようとした心象や心意気が伝わってくるようでなかなか面白く印象的でした。

そういえば熱海でも現代アートの展示が始まっているし、伊豆半島付近はアートで熱い?!。取り上げる作品も若い人のが多く、アート界も少しずつ変化し始めているのかしらんと感じる次第です。