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お節に続いて節。でも、セチではなくてフシ、木のフシです。拙宅ではフシありの木材を採用しています。コストを意識しただけ? いやいや、フシ有りでもいいという消極的理由ではなく、フシ有りがいいと云いたいくらいです。今回はその節をめぐる話の1つ。

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ごろりと横になって拙宅の天井を見てみましょうか。ぶっとい松梁の間に設けられた天井板は木目もばらばら、おまけに節だらけ。大工の棟梁はそれなりに板目を考え配置してくださったんですが、それはそれとして、もともとの節や木目のランダムさのせいか、何度見ても記憶できません。だから飽きないし、見ていて楽しい。これが意外といいんですわ。

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節のない木材だったら、どこもかしこも同じですし、木目まで揃ってしまうとまるで壁紙状態。論より証拠、というか自分の印象を確認するため、節無し木材だけで贅を尽くして建てられた、ある瀟洒な旅館に泊まった時、その無機質さにやはり戸惑いを感じました。自然界にあり得ない景色では却って人工的な雰囲気になってしまう。要するに、節がないのも(私には)考え物。

もちろん節があれば何でもいいというわけにはいきません。木の強度は確保しなければなりませんし、ポロポロ抜け落ちてしまうのも困りもの。つまり死に節ではなく活き節がいい。

でも、死に節でもそこをほじって替わりの木材を詰めてしまえば穴は塞がります。実際のところ、拙宅の2F床はそんな塞ぎ箇所が多数あります。というのも、値段の問題から節いっぱい節ポロポロの板が搬入されてきたから。後で考えると、大工さんの手間賃と木材価格は総合的!?に勘案すべきだったのでしょうが、私はその塞いだ部分の雰囲気が好きなので、結果マル。

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節といえばお風呂もそうです。拙宅は木製のお風呂ですが、こちらはコストを考慮した上での判断でした。これをもし無節のもので採用すると標準サイズで100万円は下らない。これはちょっと私には使えません。ところが、小節のものなら随分安く買えることをその方面の建築家らから教えてもらったので、自分でも調べてみると25万円前後(1998年当時)。これならホーローやステンレス製のお風呂とたいして変わりません。問題は木風呂採用時のお風呂の設計方法やメンテナンスの可否でしたが、これも先達のアドヴァイスで乗り切りました(別稿で後日詳しく触れましょう)。

家を建てて10年の経験でいえば、当初知らなかったフシの問題に遭遇したこともお話しておきましょう。どんなことかというと、節が飛び出す現象です。

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いや、これは正確な云い方じゃない。飛び出した木のぽっちというか、閉まり切らない木栓のような感じというか、まぁそんな風にも見えます。節は堅いが節以外の木材部分は柔らかい。すると木材の乾燥が進んで幾分収縮すると、そういうことになるようです。徹底的に(数年以上)乾燥した木材を使わないと発生する現象でしょうか。まぁこれも強度に影響なければ抜け節同様、愛敬です。深刻な問題じゃない。

フシ有り、フシ無し、どちらを選択するのか。木造の家を作る時には必ず出てくる問いかけです。フシ無しが高級でフシ有りは低級なんて無前提に考える前に、フシの有り無しについて一人一人が考えてみればいい。どうしてもフシ無しでないと困るという確固たる理由があれば、大枚用意して採用すればいいし、お金持ち気取りの虚栄心ならお金の無駄。そこらはお財布との相談ということになるんでしょうが、フシ有りも味があるし、なかなか楽しいよ、と私は云っておきませう。