自宅の水道水質を測ったら・・・ 

Water

 新築改築、家を建てたり、新しくする時にはいろいろ期待が膨らむもの。家の作りや設備機器に関心がある人は多いでしょうが、水道管設備やそこから出てくる水質にまで注意を払う人はほとんどいないのが実情です。

 普通一般の家づくりはもちろん、私の知る限り、健康住宅とかシックハウス対策に取り組んでいる建築設計者でも水道管のことを熟知している人は皆無に近いといってもいいくらいですから、住む人が水道管のことを知っているのはさらに稀。
 水道当局の秘密主義により、私たちの水道管や継手それに蛇口などには鉛入りのものがたくさん存在していることは既に触れてきた通り。また、各戸内の給水装置についても、未だに鉛入りのものが闊歩しているため、せっかく家を建てても鉛入りの水道水になる危険例はいまだに後を絶ちません。

  今回紹介するのは、そういう現状に疑問を感じ、自ら改築時の水道水質を測定した人の実例です。
 ゴアさん(ニフティのハンドルネーム。「マグマ大使」に出てくる神様とは関係ないでしょう、きっと)宅では改築時に給水装置を新たにしました。ところが、水道本管からの引き込み経路は20年以上前に鉛管が敷設されたまま。

  気になったゴアさん、自宅の水道水の水質を測ってみることにしました。そのデータは、ゴアさんのHP「川のある家」にある「鉛管の水道」とタイトルしたページに載っています。
  ゴアさんの取り組みが賢いのは、水質試験一般の流水サンプルと滞留水の双方を測定したこと。開栓直後の一番汚い水は普通の水質試験では出てきません。出てこないデータは当局関知せずで「何の問題もありません」となるわけですが、本当は一番汚い水を測定しない限り実態はわらからないものです。

  案の定、ゴアさんのデータでもその違いが出ました。鉛や銅で4倍、鉄で6倍となっています。鉛については滞留水で1リットル当たり0.004ミリグラムですから、危険なレベルではありません。それでも流水の4倍であることを考えるなら、引き込み管やそれに至る本管からの鉛の溶け出しは疑わざるを得ないところです。ご本人もご指摘の通り、もっと長期間蛇口を留めていたら、滞留水濃度が上がるのではないでしょうか。
  新築改築時に自宅の水質を測るというのは稀な例かもしれません。しかし、ゴアさんの例のように一度測っておくと自宅の水道水がどんなものかある程度把握でき、捨て水などの対処の意味や意義もしっかり理解できるものと思われます。
 水道水の鉛問題、本来は水道当局こそこういった実際例を集め、引き込み管対策をとるべきなのです。というのも、鉛の引き込み管を造成業者や居住者に指導して推進してきたのは他ならぬ水道当局自身だから。ゴアさんの例もまたそのことを厳しく示したものといえるでしょう。
 ゴアさんの取り組みはこれからの家づくりと水道水を考えるための、貴重な試金石であると私は考えます。 ’