丸投げで誰かがピンハネ

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東京新聞を除き、当初ほとんどの新聞テレビが取り上げなかった持続化給付金のピンハネ問題。昨日になってやっと朝日新聞日経新聞なども報じました。また、時事通信は「(立憲民主党など野党は)事務作業を769億円で受託した法人の実態が不透明だとして追及」(5月29日)と国会の動きを伝えることで当問題を取り上げています。お金の流れを不透明にして得をするのはだれか。そう考えるとこの問題の根は深い。

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東京新聞 2020年5月30日より

東京新聞は、経産省が立憲民主党など野党の合同ヒアリングで説明した内容を基に計算し、委託料769億円の97%に当たる749億円がまず電通へ流れ、差額の20億円が幽霊法人に入る。経産省は(実務の実態がない幽霊)法人が振込手数料を負担すると説明しているが、割高な窓口手数料で計算しても6億5千万円が幽霊法人に入る計算になる。ことを報じています。

銀行振込をする時、窓口で振込むよりも電子振込をする方が圧倒的に安いことは皆様ご存じの通り。経産省は振込手数料の詳細を明らかにしていませんが、幽霊法人は「何にも活動がない」のですから振込作業ができる筈もなし。幽霊法人が得る6億5千万円〜20億円はいったいどこへ流れるのでしょうか? 第一、実務の実態の全くない幽霊法人が2兆円を超える持続化給付金の支給事業を受託できるっていうこと自体がおかしいですね。

図は東京新聞2020年5月30日より

持続化給付金の支給作業を受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会は、(笠原英一)代表理事が云うように「何にも活動がない」幽霊法人。「週刊文春」の取材にも(私は)話がわからないから電通さんに聞いた方が・・・という具合でした。要するに、2兆円を超える持続化給付金の支給費用として769億円が幽霊法人へ流れ、それを電通が再受託して749億円を手に入れ、差額の20億円は実態のない幽霊法人に入るというわけです。なお、今回の幽霊法人の設立に電通が深く関わっていることが明らかになっています。

(追記)これを書いている31日朝、問題のサービスデザイン推進協議会の笠原英一代表理事が突然に辞意表明、との報道が東京新聞にて報じられました。不透明なお金の流れと関連法人代表理事の突然の辞意表明とくれば、キナ臭さいっぱい。


財務省幹部は「国と電通の間に法人が入ることで事業費が増える」として、予算の無駄遣いにつながる今回の構造を批判する(東京新聞5月30日)と、血税の給付金をピンハネするかのような経産省&電通にクレームしていますが、この問題の根は深そうです。

この国にはトンネル会社や幽霊法人を使って国民の税金を別方面へ流す仕組みがあります。幽霊法人はもちろん別法人を通してしまうと法令上お金の流れが追跡できません。このようなダークな仕組みで編み出されたお金が政界工作やもろもろの闇資金になるのではないでしょうか。

2兆円もの税金を持続化給付金として配るのなら、公明正大できちんとした形で給付してほしい。そして、不正が無かったかどうかの検証もしっかり行われる必要があります。今回のような幽霊法人による業務の再委託で、持続化給付金のお金の流れを不透明にして良い訳がありません。この国の生産性が低いのはこういう処にもあるんでしょうね、きっと。電通絡みの幽霊法人がピンハネする話を今回聞いて、「またかという暗澹たる思い」がしたと書いたのは、そういう経験があったからです。