本屋が消える

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また1つ大きな本屋が京都から消えます。京都四条通りのジュンク堂です。三宮を出発点に全国へ店舗を広げてきたジュンク堂でしたが、大日本印刷をスポンサーにした丸善との経営統合で現在は丸善CHIグループの一員。そのジュンク堂四条店が来月2月で消えることになり、京都からジュンク堂はなくなってしまうことになりました。

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私が京都へやってきたのは1975年の春(昭和50年)。河原町通りには駸々堂にオーム社、京都書院の本屋がひしめき、古本屋もたくさん。流石に京都は多いなぁと感心したものでしたが、これら全部がいつのまにか消えてしまいました。97年をピークとする出版不況のせいです。

今世紀になっても生き残ったのはジュンク堂と丸善でしたが、その丸善も2005年に閉店。現在の丸善書店は京都BALにあったジュンク堂の後釜で、当時とは別のモノ。昔の丸善はといえば自社ビルを有し、本屋だけでなく服飾雑貨も扱っていて、個人的にはマナスル靴やジャケットを注文したこともありました(東京の製靴会社が廃業でマナスル靴も消失)。

もう一方のジュンク堂は記録によると1988年に京都下京区四条通り沿いに開店。開店の記憶がないのは当時私自身が外国に行っていた時期だったからのようです。たくさんの本屋がひしめく京都では新参の大型書店でしたが、それも今は昔。その書店が2月で消え去ることになったのは、何度も何度も訪れ本を探し選び購入してきた身としては寂しい限り。

これで京都に残った大型本屋は新しい丸善と大垣書店、それに駅前のアバンティブックセンターでしょうか。最近は本をネットで買うこともできますし、電子書籍もあります。でも大型書店で本を探すというのは、寄り道で目的以外の別の本を見つけたりするので、本好きにはなかなか楽しいものです。その場所が1つ消えるのはちょっと痛い。

出版販売額の推移から察するに最近は本を読む人が減ってきたようです。本を読まずして、いったい何処で知識を得ているのでしょうか。

もしネットで調べればいいと思っているなら大間違い。ちょっとした辞書代わりならそれでもいけるかもしれませんが、これでは不十分。ページを行きつ戻りつしながら、あ〜でもないこ〜でもないと悩みつつモノゴトを考えていく習慣、つまり本をじっくり読み込む習慣がなくなった者の行き着く先は暗い。

なぜかって? だって世の中はアンチョコの教えるようにはシンプルではないから。答なんかあるのかどうかもわからないのが普通です。場当たり的で皮相的な知識で対応できるなら、それこそAIでも何でもで置き換えられてしまいます。昔の焚書令を引くまでもなく、本を読まない社会とは独裁者や宦官官僚の思うツボな世界です(きっぱり)。