お茶 茶箱 野点

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突然野点をしたいと連れ合いが言い出しました。それも信楽で。友人の陶芸家夫妻と一緒にお茶しようというのです。テレビを見ない夫婦なので朝ドラとは関係ありません(笑)。ということで、先週末は信楽へ。

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先日、京都の友人に誘われ、連れ合いは着物の帯工場を見学へ。その時に「茶箱あそび」なるものを知ったらしく、機会あれば野点をと目論んでいました。

茶箱とは、茶器・茶碗・茶筅などの茶道具をひとまとめに箱へ入れたもの。この茶箱があれば、茶室がない(もたない)人でも場所を選ばずお茶が楽しめるというもので、「数寄の限りを尽くした者が最後に行き着く世界」なんだそうです(ふくいひろこさんの著書参照)。

作法に従いお茶を飲むのが正式な茶道なら、茶箱でお茶を飲むのは異端になりますが、空間と時間の自由度はその分大きくなります。躙り口から入って正座して作法に則ってお茶を・・・というのは自由度に欠けるなぁと日頃から思っている私としてはウエルカム。

その茶箱に触発された連れ合いは、急に信楽へ行って小林勇超さんご夫妻といっしょにお茶しようと言い出しました。小林さんは別の友人の縁でお付き合いさせていただいている陶芸作家。野点で使う茶碗や菓子箱は、過去に買い求めた小林さん作のもの。要するに御本人の作品で茶を楽しもうという趣向ですが、突然の申し出に快く賛同して下さり、先週末信楽の陶芸の森へ。

(追記)小林さんの陶芸作品は不思議な縁でUSデンバーの美術館でも観ることができます。


女性陶芸家を主人公にした朝ドラの影響でしょうか、陶芸の森の駐車場は車でいっぱい。何とか停めて広場へ向かうと、「しがらき森のクラフトフェスタ」開催中。「信楽にゆかりのある女性クリエーター達による、初めての陶フェスティバル」という触れ込みです。

散策すると、以前から信楽でお店を開いている方もいれば若い人もいていろいろ。伝統的な信楽焼よりもクラフト系作品が多い。聞けば、デザインなどを学んだ若い人たちが信楽に工房を開いたりしているらしい。最初は電気釜でもガス窯でもいいから食べていく道を見つけないと作家は続けられない、とは小林さんの弁。そういう意味ではテレビ効果でも何でもいいから、今後のとっかかりができるといいですね。

肝心の野点(のだて)は広場のステージ前の座席で。そこは午前のステージではフラダンス、午後には歌や楽器演奏などでしたが、ちょうどお昼の休憩タイムだったので演目を邪魔することなくゆっくり過ごすことができました。

使った濃茶は瑞鳳(上林)、茶菓子は琥珀栗(永楽屋)。菓子は栗の旨味を活かして甘さ控え目の上品なものでした(糖質も少なめかな)。

小林さんご夫妻や私たち夫婦だけでなく、牧師で陶芸作家のステファンさんや運営スタッフのT子さん、そして通りがかりの人もご一緒にお茶を楽しんだ次第です。なかなか優雅な、秋晴れのひととき。